テニスラケットの科学(13)  
ストリングの張り上がりテンションが異なるときの「ボールのつぶれ量」と「ストリングのたわみ量」

図1は、ストリング・テンションの違いによるストリング変形量の差を、衝突速度との関係で調べたもの(シミュレーション計算値)です。
どの衝突速度でも、テンションが低いほど変形量が大きいことを示していますが、その差は衝突速度によって変化します。(川副1995)

図2は、ストリング・テンションの違いによるボールの変形量の差を、衝突速度との関係で調べたもの(シミュレーション計算値)です。
衝突速度が上がるにつれて、変形量は大きくなりますが、ボールの場合は、ストリング・テンションの違いによる変形量の差は、ほとんど見られません。
したがって、ボールの変形によるエネルギー・ロスの差は、テンションの違いによっては表れないことになります。
これが、テンションに違いがあっても、ボールとストリングの反発係数に違いがない理由です。(川副1995)

1-画像:インパクト(衝突速度)におけるストリングの変形量とテンション-川副研1995
2-画像:インパクト(衝突速度)におけるボールの変形量とテンション-川副研1995