テニスラケットの科学(149)  テニス書・テニス雑誌の解説に異見あり(27):「腰」をひねればエネルギーの源に

テニス雑誌・最近号(*)特集『モモ裏パワー』に、『「腰」をひねればエネルギーの源に』という解説があり、『「腰をひねる」こと。目安となるのは、(ひねった方向の)腰部分のウェアに“シワ”がよるくらいひねられるとGOODです。』と添付の写真(*)を使って説明されていますが、(異見あり!)です。

まず、添付の図は、腰がひねられてはおらず、(股関節を折りたたんで)ターン(回転)しています。
「ひねり」(Twist)とターン(Turn)の違いに誤解があるようです。
身体の怪我に関係することなので、読者に誤解を与えないような記述が望まれます!

「ひねり」(Twist)あるいは「ねじり」(torsion)は、軸の一端を固定し、他端に回転力(トルク)を働かせた場合の変形で、ねじれ角度は固定端からの距離に比例します。固定端には回転力(トルク)が働きます。

一方、ターン(回転)は、両端が同じ方向に回転するので、理論的には「ひねり」あるいは「ねじり」は起こりません。
添付写真は、腰(一端)と肩(他端)とが同じ方向に回転(ターン)しているように見えます。

「ひねり」あるいは「ねじり」の欠点は、ねじるのに時間がかかること、さらに腰の負担が大きく、怪我をしやすいことです。
したがって、腰をひねらないで股関節を折りたたむ方が(ドアの蝶番、ヒンジのように回転・開閉)、素早く動くことができて、身体の負担も少なく、怪我をしにくいでしょう!

添付の写真は、「ひねり」ではなく、「ターン」ですね!
腰部分のウェアの「シワ」は、腰をひねったからではなく、股関節を折りたたんだからでしょうね!

* テニス雑誌・テニスクラシック・ブレーク、2019年5月号、p.12.
S.チチパス選手のフォアハンド(テニスクラシック・ブレーク、2019年5月号、p.12の図を編集-kawazoe)
(2019-0608-チチパス-TC2019年5月号p12-Fb-Ss-edited by Kawazoe)