テニスラケットの科学(467) :テニスラケットの科学(325)*の補足3:トラックマンによる測定例(参考データ) *テニスラケットの科学(325):スピンとストリング(69) : プロのストリンガーも誤解しているストリング・テンション :再度テンションの大誤解を解く(その3)

● ストリング・テンション(張り上がり)とボールの飛び(打球速度)の関係
ストリング・テンション(張り上がり)とボールの飛び(打球速度)の関係について、精度の高い測定器と言われている「トラックマン」を使った貴重な測定値に遭遇しましたので、紹介させていただきます。
youtube映像には生データ(測定値)が表示されているので、大変参考になります。
● 動画:ストリング・テンション(張り上がり)とボールの飛び(打球速度)の関係は、スピン量の少ないフラット打撃が最も信頼性が高いので、ストロークもサーブもフラット打撃の実験を抜粋して紹介させていただきます。

● グラフ:ストリング・テンション(張り上がり)とボールの飛び(打球速度)の関係については、フォアハンド(フラット)、バックハンド(フラット)、サーブ(フラット)それぞれについて、40ポンド、50ポンド、60ポンドの場合の平均値の比較をグラフにしてみました。(Edited by KAWAZOE)

● 測定値の説明補足と解説①
結論は、しばしば、繰り返し、強調していますように、ボールの飛びは、40ポンド、50ポンド、60ポンドには差がないことを示しています。
(注1)
テニスの実験では、ラケット面を固定してマシンでボールを衝突させる場合でも、ラケット面の同じ位置に精度よく衝突させるのは難しく、必ずばらつきを伴います。
実打実験では一層難しく、フェデラー選手のようなテスターがほしくなります!
(注2)  ストリング・テンション(張り上がり)とスピン量の関係も測定されていますが、テンションの違いの影響よりも、ラケット面上の衝突位置や面の角度の違いによる影響の方が大きい場合もありますので、データごとにチェックしないと定量的な結論を出すのは難しいと思います。
(注3) また、youtubeの映像では、最大値の違いを重視して説明されていますが、スピンに関しては平均値の差よりもばらつきの差の方が大きいので、少なくとも平均値で見るべきだと思います。
(注4) データは事実を語っていますが、目に見えない多くの要素が関係しているので、注意深い解釈が必要です。

・参考文献 トラックマンに関する参考論文
https://www.jstage.jst.go.jp/…/jcoaching/31/2/31_197/_pdf
トラックマンにより速度とスピン量が計測されています。
https://sports-performance.jp/paper/1550/1550.pdf
トラックマンによるボールの速度と回転数の測定は,従来行われてきたハイスピードカメラ及びスピード測定器による測定と同等の精度があるという記述があります。
・トラックマン公式ホームページ
https://www.trackman.com/ja