テニスラケットの科学(210):スピンとストリング (8) : プロのストリンガーも誤解しているストリング・テンション : (張り上がり)テンションが低いほど「接触時間」が長いのは衝突速度がごく低い領域だけ、実用範囲では(張り上がり)テンションの影響はほとんどない

・ 図は、(張り上がり)テンションの違いによるインパクトでのボールとストリング面の「接触時間(コンタクト・タイム Contact Time)」の差を、衝突速度との関係で調べたシミュレーション結果です。(テニスラケットの科学(208)参照)
・「接触時間(コンタクト・タイム )」は、衝突速度が大きいほど短くなります。
 衝突速度が大きいとボールもストリング面も変形量は大きくなりますが、変形量が大きいと硬くなるので、素早く、瞬時に、短い時間で跳ね返ることになります。
 ボールが硬いコートで跳ね返るのと柔らかいコートで跳ね返るのをイメージするとわかりやすいかもしれません!
 ボールが硬いコートで跳ね返る場合は、変形(つぶれ)は大きいですが、短い時間で跳ね返ります。
・ 衝突速度が小さい領域(この例では15 m/秒=時速50キロ以下)では(張り上がり)テンションが低いほど接触時間は長くなりますが、実用範囲の15 m/秒=時速50キロ以上では(張り上がり)テンションの影響はほとんどありません。
(参考文献)
・ Yoshihiko KAWAZOE, Effects of String Pre-tension on Impact between Ball and Racket in Tennis,
 Theoretical and Applied Mechanics, Vol.43(1994), pp.223-232.
・ 川副嘉彦、ラケットの科学II-⑦ ストリングス・テンションはインパクトにどう影響するか、
 月刊テニスジャーナル,13巻3号(1994.3), pp.80-85.