テニスラケットの科学(477) (備忘録)  テニスボールは優れもの! (5) :ボールとストリング面の反発係数(COR:Coefficient of Restitation)の実測値(2)ストリング・テンションの影響

(注1)
ラケットヘッドを固定したボールとストリング面の反発係数(COR)
=(ボールの跳ね返り速度)/(ボールの入射速度)
 ストリングスとボールとの反発係数におよぼすストリング・テンションの影響を調べたものです.
 横軸は衝突速度ですが,通常ストロークでは 20~30m/s程度です.
 衝突速度20 m/s では,テンションの高い方が反発係数の平均値はやや低くなっていますが,30m/sではテンションの違いによる反発係数の平均値の差はほとんどありません.
 この場合もボールとストリング面の反発係数(COR)は0.8 ~ 0.9 程度で,0.83 に近い値を示しています.
(テニスボールは優れもの! (4) :ボールとストリング面の反発係数の実測値 も参考にしてください。)
 この実験は,共同研究者であるミラノ工科大学のCasolo, F.教授のもとで,超高速度のインパクトまで測定できる当時では貴重な本格的な実験装置()を用いて実施されました.
(参考文献)
 Kawazoe, Y., Tanahashi, R. and Casolo, F.,
Experimental and theoretical criticism of the effectiveness of looser strings for the reduction of tennis elbow,
 Tennis Science & Technology 2, pp.61-69. (2003). International Tennis Federation.
(注2)
ストリングを緩く張ることはテニス・エルボー(肘)対策に効果がないことを、実験と理論によって吟味した論文です。