テニスラケットの科学(80) 大型ヘッド120平方インチをもつ従来重量型ラケットと軽量型ラケットの比較:インパクトにおけるテニスプレーヤーの手首関節衝撃振動の予測(1)
ハンドル部分の重量を減らして、トップヘビーにすることにより、反発性を低下させないで、軽量化をはかり、操作性の改善によりスイング速度を上げることにより、パワーを増し、ヘッドの大型化によりスピン(回転数)を増して、コントロール性を改善するというのが、最近のハイテク・ラケットの特長です。
大型ヘッドをもつ軽量ラケットの振動が大きいことが問題になっています。
打球感に関する性能を明らかにするために、プレーヤーがフォアハンドドライブでボールをフラットに打撃するとき、ラケットの質量および質量分布がハンドルとプレーヤーの手首関節衝撃振動におよぼす影響について予測しました。
性能予測は、テニスのインパクトにおけるラケット特性、ラケット-腕系の減衰特性、プレーヤーの腕系の等価質量などの同定と非線形衝突解析に基づいています。
材料および幾何学的形状の等しいカーボングラファイト製、ヘッド面積 120 in2 のラケットについて、従来重量型はストリングを含む質量 349 g(フレーム重量333 g),ハンドル端から重心位置までの距離(バランス値) 323 mmとし,軽量型はストリングを含む質量 292 g(フレーム重量276 g),ハンドル端から重心位置までの距離(バランス値) 363 mmを対象としました。
注) ラケットのカタログに記載されているバランス値は、ストリングを張る前の値なので、上記の(実際の)値より小さくなっています。
*テニスラケットの科学(54)~(56)参照