テニスラケットの科学(19)  
トップ・スピンのインパクトは一瞬!
:経験豊かなコーチといえども、インパクトの瞬間は眼で見ることはできない!

動画1は、プロ・テニスプレーヤーによるトップ・スピン打撃におけるインパクトの瞬間、すなわち、ラケットのストリング面とボールが斜め衝突する直前から、ボールがストリング面を飛び出すまでのスローモーション映像です。
NHKの高速度カメラにより2万分の一秒のフレームで撮影されています。
この場合の、ストリング面とボールとの接触(contact)からボールの飛びだし(release)までの時間は、約 3/1000 秒です。
ストリング面とボールが斜め衝突して、つぶれた(縮んだ)ボールが元の球に復元する(伸びる)と同時に、ボールは、ラケットの速さを追い越して、インパクト直前のラケット・ヘッド速度の約 1.5 倍の速度で回転しながら、勝手に飛び出しています。
ストリング面とボールがくっついている時間、すなわち 3/1000 秒の間の、ラケット移動距離はごくわずかです。

動画2は、テニス専門家(かって名選手、現在コーチ)の松岡修造さんのトップ・スピン打撃法の解説です。
大変役に立つアドバイスですが、経験豊かなコーチといえども、インパクトの瞬間は眼で見ることはできません。
インパクトの事実と想像の間には多少のギャップがあるように見えます?

テニスラケットの科学(20)でもう少し説明させていただきます。

1-動画:プロ・テニスプレーヤーによるトップ・スピン打撃におけるインパクトの瞬間。川副ら(2010、NHKとの共同実験)

2-動画:松岡修造氏によるトップスピン打撃法の解説- アインシュタインの眼 テニス NHK より。