テニスラケットの科学(494) (備忘録) テンションとプレイのマッチング 1995年版(8): Part5 テンションの秘密を科学で探る 実験結果と実際のスウィングの印象の間で、 ギャップはなぜ 起こるのか ⑤
(4) 実際のスウィングによる実験で調べてみると
“ これまでの実験は、ラケットにボールを衝突させたときの反発速度であった。
それでは、実際のストロークでは、テンションとボールの飛びの関係はどうであろうか。
実際のストロークにおいてテンションとボールの飛びを調べた論文はほとんどない。
30ポンドから105ポンドまでの4種類のテンションで、マシンからのボールを目標地点めがけて試打した結果についての報告(渡辺一郎、1990年)が著者の知っている唯一のものである。
この報告によると、上級者と中級者の結果は異なっており、上級者(経験10年)のフォアハンド・ストロークでは、80ポンドで張ったときにもっとも打球が速く、80ポンド、55ポンド、105ポンド、30ポンドの順になっている。
また、上級者のボレーでは、55ポンドのときもっとも打球が速く、55、80、30、105ポンドの順になっている。
試打の実験データが少ないので、一般のテニス雑誌で見た記事だが、テンションと打球速度に関する試打の結果をもうひとつ紹介しておく。
「ストリング・テンションを55、60、70ポンドで張ったラケットで、フォアハンドとサーブを2人のテニスコーチに打ってもらって測定したところ、2人のコーチによるボール速度は、まったく逆の結果がでた」という記事である。
すなわち、「あるコーチは55ポンドのときが一番スピードが出た。もう1人の他のコーチの場合は、70ポンドのときにもっともスピードが出た」というのである。
”
(続く)
(参考資料)
テンションとプレイのマッチング:Part5
テンションの秘密を科学で探る
実験結果と実際のスウィングの印象の間で,ギャップはなぜ 起こるのか
川副嘉彦,月刊テニスジャーナル 1995年10月号,pp.55-60.