テニスラケットの科学(579)
:テニスラケットの科学(192)の補足2
:テニス・スイングにおけるパラメトリック加速18(私論)
:サービス(シャラポバ選手)を見る!
 Parametric Acceleration in Tennis Swing 18: Service (Slow video)

● サービス(サーブ)についての参考資料
 サーブにおける身体とラケットの操縦法に興味をもつようになった動機は、
“ ナダルがサービス練習に入ったとき、コーチだった叔父さんが発した「ラファ、ボールを上から叩きつけるようにサービスは打つんだ!」という言葉が耳を疑うような物理学を覆すものだ。”という記述がプロのコーチと物理学者の共著による書籍に書いてあったからです。(*1)
 また、その書籍には、
”— 「ジョコビッチが、サービスは上から下に打つと言っていましたよ。これって、間違いですよね。
 ——– 世界最高峰に位置する選手たちが、理論とは真逆のことを述べることも多いからだ。”とも書いてあり、プロのトップ選手の言葉と物理学者の言葉の、どちらが、物理的に理にかなっているか?に興味を持ったからです!
 私の結論(私論:論文に発表したわけではないという意味での私論です!)は、 ナダル選手やジョコビッチ選手の感覚の方が、そのテニス書の共著者である物理学者とプロ・コーチの理屈よりも、物理的に理にかなっているということでした。
(*1)
・ テニスラケットの科学(129)  テニス書・テニス雑誌の解説に異見あり(23):「理系なテニス」(1) ナダルとジョコビッチのサーブ(理論と体感) | 川副研究室-KAWAZOE-LAB

●  多くの選手のサーブの時のコマ写真を見ると、(インパクト前)では、肩を支点として回転する上腕は高く振りあがっていますが、ラケット・ヘッドはまだ下がっており、(インパクト)では、上腕を振り下ろしてラケット・ヘッドが最高位置近くに振りあがったところでボールをヒットしています。
 すなわち、腕を振り上げる力でボールをヒットするのではなく、高い位置まで振り上げた腕を振り下ろしてラケット・ヘッドが高い位置に振りあがる力でインパクトしていることになります。
(重要) 「サーブ速度に最も寄与するのは、肩・上腕の動きである」という博士論文もあり、身体操法としては、肩・上腕の動きに着目しています!

● コマ写真・画像例
 図1:ナダル選手のサーブ

図―1

 図2:ジョコビッチ選手のサーブ

図―2

 図3:フェデラー選手のサーブ

図―3

 図4:シフィオンテク選手のサーブ

図―4

● その根拠となる一つの物理的な背景がパラメトリック加速(パラメトリック励振)(*2)ですが、小学校の理科で考えても、 重さ3~4キログラムの腕と300グラムのラケットを肩で振り上げながら打つよりは、重さ3~4キログラムの腕を振り降ろす瞬間に、300グラムのラケット・ヘッドを振り上げて打つ方がはるかに楽で打球も速いはずだからです。
(*2)・テニスラケットの科学(395) テニスラケットの科学(118)の補足 | 川副研究室-KAWAZOE-LAB

 パラメトリック加速理論によると、インパクトの直前に遠心力に逆らってグリップが引き付けられることになり(仕事がなされ、エネルギが注入されることになり)、そのエネルギがラケット・ヘッドを一層加速させることになります!

● パラメトリック加速(パラメトリック励振)についての参考資料
図5:単振り子のパラメトリック加速

図―5

図6:単振り子のパラメトリック加速原理

図―6