テニスラケットの科学(786)
:テニスラケットの科学(781)*の補足5
:魚雷バット(Torpedo Bat トルピードバット)の話題
:「群盲象をなでる」?、「木を見て森を見ず」?
:魚雷バットが合う人は成績が上がるが「大谷翔平選手タイプは合わない」 元巨人ヘッドが推測** (現役時代に魚雷バットに近い形を試したことがある岡崎氏のコメント)

・ 現場からのコメントは、考慮すべき因子が抜けていたり、感覚的・主観的な部分もありますが、大変興味深いです!
(ご参考までに)
・ 最適な(最大の)「打球速度」を実現するための設計条件を算出するには、「グリップの握りの位置」と「打球するヘッドの位置」を与えて、スイング時の「筋トルク」と「スイング軌道」を与えて、トレードオフの(相反する)関係にある 「反発力係数」と「ヘッド速度」を考慮する必要があります.
・「反発力係数」というのは、「バットの弾きの良さ」で、バット上の打撃位置によって、バットの違いよりもはるかに大きく異なります.
「バット打撃位置の反発係数」と「バット打撃位置の換算重量」が大きいほど、「反発力係数」は大きくなります.
・ バットの「ヘッド速度」は、バット上の打球位置とスイング速度(振りやすさ?)に密接に関係します.
・ また、「打感(Feel)」を評価するには、バットの「芯」(打撃の中心)や手に伝わる「残留振動」を考慮することになりますが、それぞれのバッターの「グリップの握りの位置」と「打球するヘッドの位置」が大きく影響します.
「芯」(打撃の中心)は、手に伝わる衝撃-インパクトが極小になる打球位置です.
・ なお、いわゆる「芯の位置」(打撃の中心)や「振動の節」(振動が励起しない打球位置、あるいは振動が励起されても手に伝わる振動がゼロに近いグリップ位置)は、選手の感じるフィーリングに影響しますが、「打球速度が最大になる位置」とは力学的に別物で、一般に少しずれます.

 以下は、「魚雷バット」に関する岡崎氏のコメントが紹介された記事**の引用です.

“ 巨人のヘッドコーチなどを歴任した岡崎郁氏(63)が自身のYouTube「アスリートアカデミア」を更新。
日本野球機構(NPB)も使用を容認した「魚雷バット」と称される形状のバットについて語った。
 実は岡崎氏、現役時代に魚雷バットに近い形を試したことがあるという。
 「(バット)職人さんに“この形は飛ぶよ”と言われ、グリップに近いところまで太い、魚雷バットに似たバットを作ってもらった」と明かした。
 確かに飛ぶが、重い分使いこなせず、試合での使用は断念したという。
“ 


 メジャーで使用されている魚雷バットは先端が細い分、抜けはいいが、それでも大谷翔平選手のように「しなりを使ってヘッドを走らせるタイプのバッターには合わないんじゃないか」と推測した。
 ただ、岡崎氏は「詰まり気味に打つ選手や、ガツンとぶつけるタイプの人は芯が手前に来てるので合っている気がする」と指摘した。
 バット本来の概念を覆す形状。NPBも認可する方針を打ち出している。
岡崎氏は
「アイデアは面白い。タイプによって合う人、合わない人いると思う。もしかしたら魚雷バットで成績が上がる人もいると思う」
と解説した。

*(参考記事)
・テニスラケットの科学(781)
:大リーグ・ヤンキースの魚雷バット(Torpedo Bat トルピードバット)*
:”何か問題が浮上すると、実際は何ということもない問題なのに、人々が狂乱状態になるからね。(ロブ・マンフレッド・コミッショナー”*
:打撃用具の性能設計法は2000年頃にすでに確立済み!
:バットの打球位置の(換算重量)のスピードと反発力のバランス設計  (野球バットもテニスラケットも性能設計法は同じ!)
:万人に最適な野球バットはありえない!
https://kawazoe-lab.com/ten…/science-of-tennis-racket-781/ 

**(抜粋引用記事)
魚雷バットが合う人は成績が上がるが「大谷翔平選手タイプは合わない」 元巨人ヘッドが推測
スポーツニッポン新聞社
https://www.msn.com/…/%E9%AD%9A%E9%9B%B7%E3…/ar-AA1CrOAB