テニスラケットの科学(813)
:研究者も誤解しやすい「テニスの科学」
:「テンションは反発係数にほとんど影響しない」 ― 現代の軽量ラケットの時代では、ボールとラケットの反発係数が低い方が、むしろ、ラケットの反発力(係数)が高く、打球速度を高める ― (反発係数が高いとラケットの方が弾かれやすい!)
:最新(2025年)の「テンションとラケット性能に関する学術論文*」に見える誤解の要因 川副研究室の実験データの見方・考え方
:from慶應義塾大学 総合政策・環境情報学部講義「スポーツエンジニアリング」 (ゲストスピーカー 川副嘉彦) 2025年12月5日(金)、9時25分~10時55分
*THE IMPACT OF RACKET STRING TENSION ON TENNIS RACKET PERFORMANCE,
Mingshun JIA , Xiaobin LAN, Tao ZHUANG, Bo SUN, Journal of Theoretical and Applied Mechanics(JTAM),Vol. 63, No.4, pp. 855–864, 2025
●
現在までの研究(論文に見られる実験データやシミュレーション結果)に基づいて、誤解しやすいテニスボールとラケットの反発係数について、整理してみます.
「ボールとストリング面との反発係数」、あるいは「ボールとラケットとの反発係数」の違いが「ラケットの性能」に与える影響は小さいと言えます。
・ボールの反発係数(衝突速度が大きいほど低減します):潰れによるエネルギ損失が大きくなる.接触時間は短くなります.
・ストリングの反発係数(変形しない鉄球とストリング面の衝突実験):ストリングの大変形たわみによるエネルギ損失は種類やテンションにかかわらず、ほとんどゼロに近い(約5%)、反発係数は約0.97、完全弾性に近い超優れもの!
・ボールとストリング面の反発係数
・ボールとラケットの反発係数
・ラケットの反発力係数
・ラケット・ヘッド速度
・打球速度
などがラケット性能が発現するメカニズムになります.
「ボールとラケットの反発係数」は、衝突におけるラケットの剛体運動の挙動を解析しないと算出できないので、実験が難しく、シミュレーションに頼ることになります.
「ボールとラケットの反発係数」の測定が難しいので、昔から、メーカーなどでは、「反発力係数」(昔は単に「反発係数」とか、「仮の反発係数」とか称していましたが)を測定して、「ラケットの反発力性能」を評価しています.
●
画像1:

画像ー1
研究者も誤解しやすい「テニスの科学」
:「テンションは反発係数にほとんど影響しない」
― 現代の軽量ラケットの時代では、ボールとラケットの反発係数が低い方が、むしろ、ラケットの反発力(係数)が高く、打球速度を高める ― 反発係数が高いとラケットの方が弾かれやすい!)
:最新(2025年)の「テンションとラケット性能に関する学術論文*」に見える誤解の要因
:川副研究室の実験データの見方・考え方
:from慶應義塾大学 総合政策・環境情報学部講義「スポーツエンジニアリング」 (ゲストスピーカー 川副嘉彦) 2025年12月5日(金)、9時25分~10時55分
*THE IMPACT OF RACKET STRING TENSION ON TENNIS RACKET PERFORMANCE,
Mingshun JIA , Xiaobin LAN, Tao ZHUANG, Bo SUN,
Journal of Theoretical and Applied Mechanics(JTAM),Vol. 63, No.4, pp. 855–864, 2025
画像2:

画像ー2
「テニスボールとストリング面(ストリング・ベッド)の反発係数」の実測値例(Mingshun JIA らのJTAM論文2025年のデータをグラフ化し再編集、川副研究室)
画像3:

画像ー3
「テニスボールとストリング面(ストリング・ベッド)の反発係数」の実測値例(川副研究室)
画像4:

画像ー4
「テニスボールとストリング面(ストリング・ベッド)の反発係数」の実測値例(Rod Cross & Crawford Lindsey の実験データを川副がグラフ化・編集)
画像5:

画像ー5
テニスを科学する:テニスボールとラケットの衝突
誤解の多い「テニスの科学」 研究者も誤解しやすい「テンション」
・重い木製(ウッド)ラケットや初期の複合材ラケットの時代には、「ボールとラケットの反発係数」が(特にオフセンターで)低く、「反発係数」を高めることが「ラケットの反発力」を高めることになりました.
しかし、現代の軽量ラケットの時代では、ボールとラケットの反発係数が低い方が、むしろ、ラケットの反発力(係数)が高く、打球速度を高めることになります. (ラケットの性能設計:川副研究室)
画像6:

画像ー6
「ラケットの反発力係数」の実測値とシミュレーション計算結果:グリップ自由(川副研究室)
画像7:

画像ー7
「ラケットの反発力係数」の実測値:グリップ部万力固定
(外山・桜井、2004年のデータをグラフ化&編集、川副研究室)
画像8:

画像ー8
「ラケットの反発力係数」の実測値:グリップ自由
(S.R. Good and S.J. Haake のデータを編集、川副研究室)
画像9:

画像ー9
「ボールとストリング面との反発係数」、あるいは「ボールとラケットとの反発係数」の違いがラケット性能に与える影響は小さい!
・ボールとストリング面の反発係数
・ボールとラケットの反発係数
・ラケットの反発力係数
・ラケット・ヘッド速度
・打球速度
などが、ラケット性能が発現するメカニズムになります.
「ボールとラケットの反発係数」の測定が難しいので、昔から、メーカーなどでは、反発力係数(昔は「反発係数」とか、「仮の反発係数」とか称していましたが)を測定して、ラケットの反発力性能を評価しています.
●
(参考記事)
・テニスラケットの科学(812)
:研究者も誤解している「テニスの科学」 ― ストリング・テンションと、ボール・ストリング・ラケット間の反発係数と、ラケットの反発性能 ―
:最新(2025年)の「テンションとラケット性能に関する学術論文*」の紹介と実験データの見方・考え方
:from慶應義塾大学 総合政策・環境情報学部講義「スポーツエンジニアリング」 (ゲストスピーカー 川副嘉彦) 2025年12月5日(金)、9時25分~10時55分
*THE IMPACT OF RACKET STRING TENSION ON TENNIS RACKET PERFORMANCE,
Mingshun JIA , Xiaobin LAN, Tao ZHUANG, Bo SUN
Journal of Theoretical and Applied Mechanics(JTAM),Vol. 63, No.4, pp. 855–864, 2025
https://kawazoe-lab.com/ten…/science-of-tennis-racket-812/
・テニスラケットの科学(811)
:(備忘録)慶應義塾大学 総合政策・環境情報学部講義「スポーツエンジニアリング」 (ゲストスピーカー 川副嘉彦) 2025年12月5日(金)、9時25分~10時55分
:「テニスを科学する:テニスボールとラケットの衝突」
:「テニスボールとラケットの衝突(インパクト)では 何が起こっているのか!」
(内容)
誤解の多い「テニスの科学」
:テニスラケットの性能に関する研究(ストリング・テンション再考)ほか
https://kawazoe-lab.com/ten…/science-of-tennis-racket-811/
