テニスラケットの科学(827)
:テニスラケットの科学(826)の補足1
:研究者も誤解の多い「ストリング・テンションと打球速度」の関係
;最近(2023年)の「ソフトテニスラケットにおけるストリングテンションと打球速度」に関する学術論文*に関連して
:試行者(プレーヤー)特性のバラツキの大きさと打球速度(実測値)のバラツキ(川副研究室の見方・考え方)
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*ソフトテニスラケットにおけるストリングテンションの違いが打球速度および打球コントロールに及ぼす影響、松江 拓, 前田 明,スポーツパフォーマンス研究, 2023年、15巻 pp. 186-192.
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プレーヤー(試打)による「ラケットの反発性能実験」や「ストリング・テンションと打球速度の関係を調べる信頼性のある実験」は、とても難しいです。
ストリング面の中心・先端側・根元側の打点の違いによってラケットの反発力・打球速度も大きく変わるなど、プレーヤーの特性によって結果が異なるからです。
測定結果の違いよりも、測定値のバラツキの方が多くなってしまいます。
データ数を増やすことよりも、安定したスイングのできる試行者を確保することが優先されます。
「ストリング・テンションと打球速度の関係」を調べるには、まず、ラケットヘッドを固定した衝突実験をやるのがよいと思います。
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:研究者も誤解の多い「ストリング・テンションと打球速度」の関係
・「打球速度」は「ラケットの反発力(係数)」と「ヘッド速度」で決まる
・反発力は「ストリング面の打球位置」の違いで大きく変わる
・ヘッド速度は「ストリング面の打球位置」の違いで大きく変わる
・インパクトにおけるストリングの最も重要な役割は、スイングによる「ラケットの運動量」を、「エネルギ・ロス」なく、「ボールに伝える」ことです。
硬式ラケットの場合は、種類やテンションに関係なくストリングのエネルギーロスは約 5 %(エネルギロスはほとんどない)、
反発係に数は約 0.97 (完全弾性に近い)です。
(注)
・ボールとラケットの反発係数(ストリング面中心で約 0.8)とラケットの反発力係数(ストリング面中心で約 0.4)は別物です。
(川副研究室)

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画像2:
ソフトテニスラケットにおけるストリングテンションと打球速度の測定例
引用文献:ソフトテニスラケットにおけるストリングテンションの違いが打球速度および打球コントロールに及ぼす影響、松江 拓, 前田 明,スポーツパフォーマンス研究, 2023年、15巻 pp. 186-192.

画像ー2
画像3:
・「打球速度」は、スイングによる「ラケット・ヘッド速度」と「ラケットの反発力(係数)」で決まります。
・反発力(係数)は、「ボールとラケットの反発係数 e r」 と「ラケットの換算質量」で決まります。
・「反発係数 e r」はインパクトにおけるボールとラケットの「エネルギ・ロス」で決まります。

画像ー3
画像4:
ラケットの反発力(係数)は、「ストリング面の打球位置」の違いで大きく異なります。

画像ー4
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(参考記事)
・テニスラケットの科学(826)
:研究者も誤解の多い「ストリング・テンションと打球速度」の関係
:最近(2023年)の「ソフトテニスラケットにおけるストリングテンションと打球速度」に関する学術論文*に「異見あり!」
:試行者(プレーヤー)特性のバラツキの大きさと打球速度(実測値)のバラツキ(川副研究室の見方・考え方)
・テニスラケットの科学(813)
:研究者も誤解しやすい「テニスの科学」
:「テンションは反発係数にほとんど影響しない」 ― 現代の軽量ラケットの時代では、ボールとラケットの反発係数が低い方が、むしろ、ラケットの反発力(係数)が高く、打球速度を高める ― (反発係数が高いとラケットの方が弾かれやすい!)
:最新(2025年)の「テンションとラケット性能に関する学術論文*」に見える誤解の要因 川副研究室の実験データの見方・考え方
