テニスラケットの科学(868):
(備忘録:解説記事 2000年)
スポーツ用具 in モード解析ハンドブック*(その3)
*川副嘉彦(分担執筆),18.2 スポーツ用具 in モード解析ハンドブック,モード解析ハンドブック編集委員会編,コロナ社(2000年), pp.454-461.


18.2.2 実験モード解析の応用
[2] ボール・ラケット複合系の実験モード解析

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[2] ボール・ラケット複合系の実験モード解析
  図18.15は,ラケットのストリング面中央にボールを接着したボール・ラケット複合系に実験モード解析を適用してみた結果である.
 図(a)は複合系の基本振動モードであり,ボールとフレームがストリングスを間に挟んで相互に押し合い引合いするモードである.
 黒い部分と白い部分が反対に動く.
 このボール・ラケット系の基本振動モードの 1/2周期が,衝突における接触時間に相当するとみなすことができる.
 ただし,ボールとストリングスの強い非線形性のために,衝突速度が大きいほど接触時間は短くなる.
 図(b)はストリング面のボールの接着点から少し離れた点をハンマで打撃したときの打撃力波形であり,図(c)は同時に測定したフレームの首部の応答加速度波形である.

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 図18.16(a)はラケット単体の場合,図(b)はボール・ラケット複合系の伝達関数を示す.
 図(b) には,図(a) にはみられない 103 Hz の固有振動数が新たに現れている.
 ボールを接着してもフレームの固有振動数はほとんど変わっていない.
 図18.15(c)のフレーム応答の初期に現われる振動は,
 ストリング面でボールがフレームと反対方向に往復する 103 Hz の振動モードであり,
 これが減衰した後に現われた振動は,約120 Hz のフレーム2節曲げ振動である.

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 ストリング面でボールが上下する振動数にはフレーム剛性は影響しない.
 実際のボールとラケットの衝突実験においても同様の結果がみられた34).
 後に述べるように,接触時間がフレーム剛性に依存しないと仮定すると,近似非線形衝突解析が可能になる.

(文献)
・スポーツ・ヒューマンダイナミクス:スポーツ用具
川副嘉彦(分担執筆),
モード解析ハンドブック,モード解析ハンドブック編集委員会編,コロナ社(2000年1月),  pp.454-461.
https://kawazoe-lab.com/research/sports-equipment-3/
・34) 川副嘉彦:機論,C,58-552, pp.2467~2474(1992).
衝突現象を考慮したテニスラケットのCAE
(ボールとの衝突におけるラケットの応答予測と反発性能の評価指針)
川副 嘉彦、日本機械学会論文集. C編 58(552) 1992,pp.2467-2474
https://kawazoe-lab.com/research/syoutotugensyouwokouryo/