テニスラケットの科学(448) フォアハンド・ストロークにおける身体とラケットの操縦法を見る (69)
:フェデラー型フォアハンド
:ナダル選手➃ ナダル選手の「時間節約」のフォロースルーのメカニズムと合理性を考える! (2) スピン量とスイング軌道の関係
● スイング軌道が急こう配なほど、スピン量は増す。
スピン量が増すと、スイング軌道が上方へ急こう配になる。
● 図1において、
スイング速度と打球速度の方向のなす角度が大きいほど、
スピン量の割合が打球速度の割合より大きいことになります。
・スイング速度と打球速度の方向のなす角度が小さいほど、
スピン量の割合が打球速度の割合より小さく、厚い当たり、ボールを潰して打つということになります。
・実際は、インパクトにおけるラケット面や相手のボール速度やバウンドの高さ(方向)やスピン量によって変わるので、打球速度やスピン量がどのくらいになるのかは複雑です。
・右の図では、上の図(かぶさっている面を上方向にスイング)の方が、打球速度方向とスイング方向のなす角度が大きく、スピン量が大きく、打球速度はやや小さいということになります。
● 図2は、インパクト(フレーム f 123)前後の肩・腕(移動重量が大きい)のスイング軌道です。
・インパクトにおけるエネルギ量が一定とした場合、スピン量が大きいほど、打球速度は遅くなります。
・ボールの回転速度(毎分スピン回転数)と打球速度の割合は、インパクトにおける打球方向の速度成分の割合と直角方向の接線方向速度成分の割合で決まります。
・したがって、インパクトにおいてスピン量が大きいと、図3のように、腕とラケットは、打球方向に移動しながら、打球方向と直角な方向にも回転します。
・このときに、脱力して、肘関節と手首関節の拘束を緩めると、肘関節と手首(グリップ部分)関節が折りたたまれて、回転が加速します。
バックスイング・トップからインパクトまで腕とラケット全体が棒のように回転していたのが、肩・上腕の部分と前腕の部分とラケットの部分とが自由に高速に回転することになります。
運動エネルギ保存則によって、肩・上腕部分に比べて軽量な部分ほど高速になるからです。
参考文献
テニスラケットの科学(200)