テニスラケットの科学(746)
:テニスラケットの科学(721)の補足22
:「テニスを科学する:テニスボールとラケットの衝突」
:ストリングのゲージ太さ(直径)は打球速度とスピン量に影響するか?
: フォアハンド、バックハンド、フラットサーブ、スライス・サーブ、スピンサーブにおける1.1 ㎜、1.2 ㎜、1.3 mmの比較 (トラックマンによる測定例)
(備忘録)
慶應義塾大学 総合政策・環境情報学部講義「スポーツエンジニアリング
(ゲストスピーカー 川副嘉彦) 2024年11月8日(金)、9時25分~10時55分
:「テニスを科学する:テニスボールとラケットの衝突」
・画像1(グラフ)の横軸は、
フォアハンド・フラット打撃、
フォアハンド・トップスピン打撃、
バックハンド・フラット打撃、
バックハンド・スライス打撃、
フラット・サーブ、
スライス・サーブ、
スピンサーブ
におけるストリングのゲージ太さ3種(1.1 mm、1.2 mm、1.3 mm)、
縦軸はスピード(打球速度)を示しています。
トラックマンによる測定値(平均値)を比較したものです。
・理論的にも予想されるように、どのショットにおいても、ストリングのゲージ太さ3種(1.1 mm、1.2 mm、1.3 mm)がスピード(打球速度):平均値
におよぼす影響はほとんど見られません。
・ショットによって、ゲージ太さ3種(1.1 mm、1.2 mm、1.3 mm)に多少の違いがありますが、これは、画像2(図2)のように、同じ太さのストリングで打っても、スイング軌道やインパクトでのラケット面の傾きなどの微妙な違いがあって、厳密にいえば避けられない(人間・生き物?特有の!)、各ショットごとのバラつきがあるからです。
・平均値の違いよりも同じ条件での試打ごとのバラつきの方が大きく、ストリング面へのちょっとした衝突の仕方で結果が微妙に異なります。
フェデラー選手のような世界のトッププロであろうと、ストリング面の打撃位置を 1 mm (ストリング太さのオーダーの違いの10倍)の正確さで打つことはできません。
・また、理論やシミュレーションにおいても、参考文献にあるように、硬いストリング面はたわみが少なく、軟らかいストリング面はたわみが大きく、ボールとラケット面の衝突力・復原力にほとんど違いがないので、結局、打球速度にもほとんど違いがないのです。
・ 画像3は、
「ストリングの太さは、スピン量にも影響しない」という結果を示しています。
これも理論的(力学的)に説明できます.
(注)
・ 衝突速度が10m/秒 以下、例えば、2メートルの高さからボールを落下させた場合のような衝突速度では、張り上がりテンション、ストリング素材、ストリング太さなどによる違いは出るかと思いますが、実用的な衝突速度では、理論的(物理的)に、衝突による影響の方がはるかに大きくなります.
(参考記事)
・ テニスラケットの科学(471)
:ストリングのゲージ太さ(直径)とボールの飛び(打球速度)の関係
:トラックマンによる測定例
:フォアハンド、バックハンド、フラットサーブ、スライス・サーブ、スピンサーブにおける1.1 mm、1.2 mm、1.3 mmの比較
https://kawazoe-lab.com/ten…/science-of-tennis-racket-471/
・ テニスラケットの科学(534)
:テニス書・テニス雑誌の解説に異見あり(44)
:ストリングの太さ(ゲージ)とラケット性能①
https://kawazoe-lab.com/ten…/science-of-tennis-racket-534/
・ テニスラケットの科学(536)
:テニス書・テニス雑誌の解説に異見あり(46)
:ストリングの太さ(ゲージ)とラケット性能➂:ラケットの反発力、飛び(打球速度)、打球感
https://kawazoe-lab.com/ten…/science-of-tennis-racket-536/