テニスラケットの科学(115)  研究の思い出:“どうして気持ちよく飛ぶの スイートスポット”(テレビ東京、テクノ探偵団)

映像(2) 野球バットの撃心

野球バットとボールが衝突したとき、インパクトの瞬間の回転中心となるバットの位置を「撃心(打撃の中心)」といいます。

バットでボールを打つとき,バットを握る位置が撃心(打撃の中心)になるようにして,バットにボールを当てれば,手がしびれません。
また、バットとボールが衝突する位置に対して、バットを握る位置が撃心(打撃の中心)になるようにバットを握れば、手がしびれないことになります。

 映像は、野球バットの芯(スイートスポットの一つ)にボールが衝突した場合、インパクトの瞬間、グリップ位置が動かない(グリップの握りの位置を支点としてバットが回転する)ことを示しています。
したがって、瞬間回転中心の位置をいくら大きな身体と手で握っていても影響がない(意味がない)ことになります。

テニスラケットについても同じことが言えます。
太い腕で握っていても細い腕で握っていても、撃心では影響がないということです。ラケットは宙に浮いていることと同じです。

撃心のほかに、振動の節(振動しない位置)というのがあります。
ラケットのストリング面の中心付近とグリップを握る位置の近くです。
これは、ラケット・フレームの重量分布と剛性分布の兼ね合いで決まります。

野球バットもテニスラケットも、歴史をたどれば試行錯誤の経験の産物ですが、設計の基本が実に見事です!
力持ちのプレイヤーも非力なプレイヤーも、あまり差が出ないように打撃具は設計されています。
ストリングについても、素材の違いや張り方の違いがあっても、あるいは貴賤(金持ちと貧乏人?)の違いがあっても、最終的なラケットのパワー(打球速度)には、あまり影響が出ないように作られています!

これらについては、稿を改めていつか紹介させていただきます。

・映像:20190420-野球バットのスイートスポットでのインパクト実験-撃心(ミズノ提供)-東京テレビ-kawazoe