テニスラケットの科学(15)  
テニスボールの反発係数(ボールが硬い壁にぶつかるときのボールの跳ね返り速度)

図は、ボールが硬い壁にぶつかるときにボールの跳ね返り速度を調べたものです。横軸はボールの衝突前の速度(入射速度)、縦軸は跳ね返り速度と入射速度の比、いわゆるボールの反発係数です。
衝突速度が大きいほど反発が悪くなることを示しています。
反発が悪くなる理由は、衝突速度が大きいほど、ボールのつぶれが大きく、ボールの瞬間的なつぶれ(変形速度)によるエネルギ・ロスの割合が大きくなるからです。
これはよく知られている事実です。
接触時間が短く、変形量が大きいほど、反発係数は低下します。

ボールの反発係数は、衝突速度が増すにつれて急激に低下しますが、ストリングとの衝突では、(ラケットの科学11で示したように)ボールとストリングの反発係数は大きくは低下しません。

1-画像:テニスボールの反発係数(ボールが硬い壁にぶつかるときのボールの跳ね返り速度):ヤマハスポーツ事業部提供(川副研)

*ヤマハスポーツ事業部には、テニスラケットの研究を始めた当初から、研究助成寄付金、ラケットの提供、定期的な研究会(ディスカッション)など多くの助成をいただきました。
ヤマハスポーツ事業部の方々との出会いがなかったら、川副研究室のテニスラケットの研究成果はなかったかもしれません。感謝しきれません。