テニスラケットの科学(2)  
グリップを手で持った場合と万力で固定した場合の、ボールとの衝突における振動の形

図は、誤解されがちなのですが、グリップを手で持った場合(左)と万力で固定した場合(右)の、ボールとの衝突における振動モード(形)を模式的に描いたものです。

ラケットの反発性の測定方法として、昔は、グリップ部分を万力で固定した条件で行われることが多かったのですが、手で持った状態とは振動の形が異なります。

テニスのインパクトでは、ボールとの衝突による伝播波がグリップ端まで到達し、グリップ端の影響がストリング面上の打点の位置まで戻ってくる前に、ボールが飛び出してしまい、グリップ手持ちやグリップ自由のラケットの場合と、反発性の数値は大きくは違わないので、長い間、誤解されていました(神田・川副1995)。

図に示すストリング面の節の位置(スイートスポット)で打撃したときは、振動が起こりません。
また、グリップ(ハンドル)の節の位置(スイートスポット)を握ると、振動が起こっても、手に伝わりません。

次のテニスラケットの科学(3) において、さらに具体的に解説します。

*主要な振動数は、最近のラケットでは、手持ちの場合は 130~200 Hz、グリップ万力固定の場合は 20 ~35 Hz 程度です。

1-画像:グリップを手で持った場合(左)と万力で固定した場合(右)、ボールとの衝突における振動モード(形)、2018-02-03 川副研究室」
66

・川副1995)。

図に示すストリング面の節の位置(スイートスポット)で打撃したときは、振動が起こりません。
また、グリップ(ハンドル)の節の位置(スイートスポット)を握ると、振動が起こっても、手に伝わりません。