テニスラケットの科学(200)の補足2
:「反発が良いラケット」と「飛びが良いラケット」は、全く別物!

●誤解の多い「ラケットの反発力」と「ボールの飛び」!
・ ほとんどのテニスラケットの解説記事には、「反発が良い」と「ボールの飛びが良い」を混同して、同じ意味で使われているようですが、両者は全く別物です。
・「反発が良い」ラケットは、必ずしも「ボールの飛びが良い」とは限りません。
・ 「反発」が良くて、「ラケット・ヘッド速度」が速いほど、「ボールの飛び」は良いことになります。
・ しかし、「スイングウェイト」(慣性モーメント:振った時のラケットの重さ)が大きいラケットは、「反発力」に優れていますが、「スイング速度」に劣るので、トレードオフ(二律背反:)になります。
・ したがって、
「飛びの良いラケット」は、素振りをしただけではわかりません。
「飛びの良いラケット」は、ボールを打ってみないとわかりません!
● 一般的には、
「ボレーヤー」には、「反発力の高いラケット」が、
「ストローカー」には「ラケット・ヘッド速度が速いラケット」が
「飛びが良いラケット」ということになります。 
(注1)
 「反発力の高いラケット」は、相手のボールが速いほど、速いボールが跳ね返ります。
 したがって、スイング速度が速くないボレーでも、相手のボールが速いほど、速いボールが飛んでいきます。
 グランドストロークでは、ボレーに比べて、相手のボール速度が遅いので、反発力はあまり活かされず、ヘッド速度を活かせるラケットが速いボールを打つことができます。
(注2)
 グランドストロークでも、相手の速いボールに対してカウンターが得意なプレーヤーは、ヘッド速度を活かせるラケットより、反発力を活かせるラケットの方が楽にプレーすることができると思います。
(参考資料)
・テニスラケットの科学(459)の補足1  研究の思い出:機械系学生の情報誌・メカライフ特集:「スポーツ工学」(1996年) :テニスのインパクトの謎を解く (概要:その7)
https://kawazoe-lab.com/…/science-of-tennis-racket-459-h1/