テニスラケットの科学(262):スピンとストリング(60) :プロのストリンガーも誤解しているストリング :なぜプロは試合中にラケットを替えるのか - ストリングの武器としての性能と弦楽器としての性能のメカニズム(実験と理論に基づく考察) - (テニス学会2016  横浜2016.12.09 講演PPT抜粋)―06

・ 図1 において,インパクトにおける実際のテンションS は,
 S = S0 + (AE/2Ls 2)X 2
と書けます.
 ただし,
S0:一般にテンションと呼ばれる初テンション,
LS:ヘッド・サイズ,
A:ストリング・ゲージ太さ,
E:ストリング素材強度(ヤング率),
X:変形(面に直角方向)量
です。
 第1項のテンションS0は,無視しても,インパクト挙動に大きくは影響しません。
 インパクトにおける実際の面圧,物理用語では,
面(バネ)剛性Ks = S0(2/LS) + 3(AE/ LS 3)X 2
も,S0 を含む第1項は第2項に比べて小さくなります。(川副ら1997).

図1


 打球に関係する「武器としての性能」は図2です。
 ボールがストリングを離れたインパクト後のラケット残留振動が関与する「弦楽器としての性能」が第1項です。
 打球感として残ります。

図2

・ 面圧(面剛性)の図3は、
 インパクトにおける面圧(面バネ剛性),ストリングのたわみ量,VB:ボールとラケットの衝突速度,(張り上がり)テンション3種類の関係を示しています。
 テンションは、速度の実用範囲では、「面圧」(面バネ剛性)にほとんど影響ししません。
 インパクトにおける面圧は、張り上がりテンションによる衝突前の「面圧」(面バネ剛性)の10倍近くまで変化します。

図3