テニスラケットの科学(29)  プロとアマのプレーヤーのスライス・スピン実測例

(放映されませんでしたが、ご参考までに)
図は,プロとアマがスライス(アンダー・スピン)でボールを打撃した場合のスピン挙動の比較です。(川副ほか2009)。
新品ガットを使用しています。
プロの打撃では,アマチュアに比べて,トップ・スピンほどの違いはありませんが、プロは、当然でしょうが、スピン量が多く(平均 1.3 倍)、打球速度も速く(平均 1.25 倍)、ボールとガットの接触時間も長い(平均 1.1 倍)という結果を示しています。
打球速度が速いのに接触時間がやや長くなっているのは、スピン量が多いからです。
ボールとガットの接触時間が長いことは,インパクトの衝撃力および手に伝わる衝撃振動の低減も意味します。
スピンを強くかけると衝撃が大きいと誤解されがちですが、スピン量が増すと、正面衝突力が減って、ボールを回転させる成分が増えるので、腕へ伝わるインパクトの衝撃は低減します。

1-画像-プロとアマがスライス(アンダー・スピン)でボールを打撃した場合のスピン挙動の比較(新品ナチュラル・ガット使用)-NHK、川副研