テニスラケットの科学(329) :テニスラケットの性能設計➂: テニスラケットの力学 :ストリング面の打点位置に換算した質量(重量)とは何か(2)

● ラケットの反発力について
 インパクトでは、ボールがつぶれ、ストリング面が大きくたわみます。
 この変形に対して、元に戻ろうとする大きな瞬間力(テンション)が発生し、このテンションの復原力成分がボールを跳ね返します。
 ボールの重量にくらべて、ストリングを支えるラケットフレームが重いほど、ストリングは伸びてテンション(張力)が大きくなります。
 したがって、復原力、あるいは反発力も大きくなります。
 極端な例えですが、仮にフレームの重量がない(ゼロ)だとしたら、ストリングは変形しないで、反発力もゼロ、ボールを跳ね返せなくて、(ヘッド速度が無ければ)ラケットが後ろにはじき返されてしまいます。
ラケットは重心位置以外での衝突位置では回転するので、ボールが感じるラケットの重量はストリング面上の衝突位置で異なります。
 このボールが感じるラケットの重量が打点に換算したラケットの換算重量(正確には質量)です。
 先端で衝突すれば換算重量はゼロに近く、根元に近ければ総重量に近くなります。
● ストローク・プレーヤーの場合は、ラケット・ヘッド速度重視の方が一般的でしょうね!
 ネット・プレーヤー(あるいはダブルス・プレーヤー)の場合は、反発力係数重視の方が一般的でしょうね!

図1

図2

図3