テニスラケットの科学(395) テニスラケットの科学(118)の補足

* テニスラケットの科学(118) テニス・スイングにおけるパラメトリック加速10:立ちこぎブランコの加速(振幅増大)原理 (Parametric Acceleration in Tennis Swing10:  The principle of acceleration (amplitude increase) of a swing (standing rowing)
● この「立ちこぎブランコ」はレバーを押すと体が引き上げられ、レバーを放すと体が下がるようになっており、揺れの方向には力は働きません。
 初めに少し揺らし、ブランコが後ろから前に揺れる時に「体が引き上げられ」、戻りの折り返し前に「体が下がる」ようにします。これを繰り返すと揺れがだんだん大きくなります。
 前に振れる時と後ろに戻るとき、両方で体を上下すれば、早く、大きく揺れるようになります。
 ブランコこぎ Youtube ちゆう工房
(補足1)
● 単振り子のパラメトリック加速
 図1のように、糸の先におもりをつけた振り子(単振り子)の糸の他端を支点に固定しないで、支点に掛けて、その先を周期的に引くと、振り子の振れ幅をだんだん大きくすることができます。
参考文献
・戸田盛和、「おもちゃセミナー」、日本評論社、1973年,pp.34.
(補足2)
● 単振り子のパラメトリック加速原理
 図2のように、おもりが下へきたときにこれを引き上げて、左あるいは右へ一番ふれたときに糸をゆるめておもりをおろすようにすれば、振子の振幅が増大していきます。
 おもりに加わる遠心力に対して仕事をするようにおもりを引き上げることによって振り子のエネルギを増大させるのです。
 (回転角)速度の大きいときに振り子の長さを減少させ、速度の小さいときに長さを増加させるのです。
 長さを減少させるときに力がなす仕事は、長さを増加させるときにもどす仕事よりも大きく、この仕事の余りが、振子の振動エネルギを増加させます。
 詳細な理論と計算は、ハルトークやチモシェンコの振動学の教科書に書かれています。
参考文献
・戸田盛和、「おもちゃセミナー」、日本評論社、1973年,pp.45.
・チモシェンコ、工業振動学、谷下・渡辺訳、1956年、東京図書、p.156(原著第1版は1928年)
(補足3)
● テニスのスイングにおけるパラメトリック加速:
 テニスのスイングにおいて、ラケット・ヘッド速度が最大(遠心力が最大)の時にラケットが引き付けられると、力がなす仕事が最大になるので、そのエネルギがヘッド速度を加速させることになるのでしょう!
(補足4)
● パラメトリック励振の原理によると、ラケットによるスイングを振り子運動とみなすと、(ラケット・ヘッド)速度が最大になる直前に(最大の遠心力に逆らって)ラケットが引き付けられると、その力がなす仕事が最大になり、その最大のエネルギがヘッド速度を最も効率よく加速させることになります!