テニスラケットの科学(435) フォアハンド・ストロークにおける身体とラケットの操縦法を見る (59) :フェデラー型フォアハンドの特長

● 「肩・上腕の外旋によるテイクバックの確保とフォワードスイングへの切り替え」に着目して
「構え➡テイクバック➡フォワードスイング➡インパクト」までをスロー映像で見ると、
・ 半身の構えの状態から、重力を利用して腕とラケットを下に落とし(ラケット面を伏せる。腕は自然に内旋:内側に回転する、したがって、ラケットヘッドが背中に回ることはない)、肩・上腕を外旋(外側に回転)しながらフォワードスイングすると、ラケット先端が、手首の角度を変えないでも、自然にフェンス側に180度近く向きを変え、さらにラケット先端が低い位置に下がります。(バックスイングのトップ位置:図参照)
・肩・上腕の外旋によるテイクバックの確保とフォワードスイングへの切り替えがフェデラー型フォアハンドの特長です。
・ ラケット重量300~350gを手で前から後ろへ移動させないで、重力を利用して腕とラケットを下にスッと落としてから、肩・上腕を外側に回転させるだけで、高い位置でネット側に向いていたラケット先端を、自然にフェンス側の低い位置に180度向きを変えて深いテイクバックを確保できるので、身体の負荷が少なく、ボールに縦回転がかかりやすく、安定した打法と言えます。
・ バックスイング(テイクバック)のトップ(Top of back swing)の深さ(ラケットヘッドが最も深くなったときの位置とインパクトの位置との距離)が最も重要で、この深さが打球速度とスピン量のエネルギー源になります。
・ ナダルのフォアハンドもフェデラー型です。
(追記)
地面からパワーをもらうとか、地面の反力を利用して打つ、などという解説が時々見られますが、物理的に考えると、これらはエネルギーの無駄使いに過ぎず、打球には影響しないでしょう!

文献
・テニスラケットの科学(168)
●フォアハンド・ストロークにおける身体とラケットの操縦法を見る (32):フェデラーのフォアハンド⑦ 側面からのインパクト映像分析(その1)
 インパクトに着目して「バックスイング(テイクバック)➡フォワードスイング➡インパクト➡フォロースルー」までをスロー映像で見る
https://kawazoe-lab.com/ten…/science-of-tennis-racket-168/
・テニスラケットの科学(169)
● フォアハンド・ストロークにおける身体とラケットの操縦法を見る (33):フェデラーのフォアハンド⑦ 側面からのインパクト映像分析(その2)
 インパクトに着目して「フォワードスイング➡インパクト➡フォロースルー」まで(近距離映像)をスロー映像で見る
https://kawazoe-lab.com/ten…/science-of-tennis-racket-169/
文献
・テニスラケットの科学(170)
● フォアハンド・ストロークにおける身体とラケットの操縦法を見る (33):フェデラー選手のフォアハンド⑦ 側面からのインパクト映像分析(その3)
https://kawazoe-lab.com/ten…/science-of-tennis-racket-170/
・テニスラケットの科学(170)の補足1 
https://www.facebook.com/permalink.php?story_fbid=1246624009123621&id=100013281014472
・テニスラケットの科学(170)の補足2
https://www.facebook.com/permalink.php?story_fbid=1246683422451013&id=100013281014472
・テニスラケットの科学(156)、(157)、(158)