テニスラケットの科学(450)
研究の思い出
:スポーツと科学
: テニスにおける科学と経験の接点 ―日本女子テニス選手の活躍の秘密を探る―
:-創立100周年記念-日本機械学会・関東支部・東京ブロック共催特別フォーラム 1997年12月6日(土) 13.30~16.00 早稲田大学 (その2)
○ 指導者の立場から 小浦猛志(フェドカップ日本チーム監督) (from 川副メモ Kawazoe Memo) *
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川副 嘉彦、知能ロボットの知性の創発(第1報、複雑系としての人間の行為・運動の巧みさとサブサンプション・アーキテクチャ)、
埼玉工業大学工学部紀要 11・12号, 2002, pp. 9-19.
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“ 元フェドカップ(女子テニスの国別対抗試合)日本チーム監督・小浦氏も興味深いことを言っている。
・ 世界のトップ・伊達選手の具体的な指導に関して,ストップウオッチを 7 秒,30 秒,7 秒,30 秒・・・にセットし,7 秒間は振り回しを行う。
・ 7 秒間・・・と時間は短いが,全力で走らせる。
・ 7秒というのは試合においてラリーが続く平均的な時間である。
・ また,ボールが飛んできた方と別の方向に打たせる。
・ 30 秒間はただ休むだけでなく呼吸法などを指導し,有効に使うようにする。
・ 30 秒間というのは,ラリーが途切れて次にプレーを始めるまでの時間である。
・ 単に肉体的にトレーニングするのではなく試合を想定し,心理面をも同時にトレーニングするのである。
・ 以前よく行われていたような長時間の振り回しはやらない。
全力で走ったのでは当然最後まで持たないから,「あと何分」というところに集中してしまい,全力で走らなくな
る。
これでは試合に有効とは言えない。
・ また小浦氏は,“眼”と“身体”との協調性が重要であると言う。
鋭い指摘である。
音よりも,視覚的な合図を用いたほうがいいという。
・ また,“肘”とか“膝”だけに注目したようなデータではなく,学者は全体を1セットにした話をすべきである。
ほとんどの雑誌,講習会での学者の話は,個々の細かい話に終始しがちであり,その個々の話を役立つ形にまとめるのは一般のコーチには難しい。
即応用可能で次第に能力が向上していく形が求められており,新たな知見がさらに追加されても,従来の部分に手を加える必要はなく,拡張性が高いものという意味に解釈できる。
・ テニスの巧みな動きも,「サービスの入れ方(スタート)」,「バウンドしたボールの打ち方」,そして「バウンドするまえのボールの打ち方」,この3つの単純な要素行動を実践的な環境で積みあげるだけで,プロでなくても相手や状況次第,それぞれのレベルで,巧みな(賢い)ダブルスが生まれてくる。
ただし,自分より格段に未熟な相手とのゲームでは,巧みさは発現する余地がない。
これはスポーツだけではない。
巧みな囲碁をする名人が,相手がつまらない手を打ってくると,やる気が失せて負けてしまうことがあるらしい。
“
(参考文献)
・川副 嘉彦、
知能ロボットの知性の創発(第1報、複雑系としての人間の行為・運動の巧みさとサブサンプション・アーキテクチャ)
埼玉工業大学工学部紀要 11・12号, 2002, pp. 9-19.