テニスラケットの科学(470)  :テニスラケットの科学(469)の補足1:多角形断面ストリング(多角形ポリ、俗称スピン・ガット)のスピン性能に関連して

● 多角形ポリ(俗称スピン・ガット?)スピン性能に関連して
(昔の?)ナイロンのスピン・ガットと呼ばれていたストリングも、表面が粗く、摩擦が大きく、滑りにくくて、スピンがかかりにくいものでした。
設計指針に、ストリングは摩擦が大きい方がスピンがかかるという固定観念があったからだろうと思います。
多角形ポリ(スピン・ガット)と呼ばれるものも、断面形状の違いでボールを引っ掛けてスピンを増すという間違った観念があるのではないでしょうか?
ストリング面は、縦糸と横糸が編まれていること自体が大きな粗さになるわけですから、わざわざストリング単体の表面を粗く、あるいは滑りにくくする必要はないですね!
多角形ポリのメリットは、表面が硬くてツルツルで滑りやすいものであれば、ノッチができにくいので、スピン性能が持続しやすいということではないでしょうか!
ストリングを張りにくいことも、多角形ポリ(俗称:スピン・ガット?)のデメリットかもしれませんね!(?)

(参考までに)
●  テニスラケットの科学(255)の補足1 
* テニスラケットの科学(255):スピンとストリング(53)
:プロのストリンガーも誤解しているストリング
:なぜポリ系ストリングが天然ガットとナイロンを凌駕したのか
- テニスラケットの新しいストリング性能論とプレースタイル変革の視点から -
(テニス学会2013 東京  2013.12.07 講演PPT抜粋)―10
・参考資料(繰り返しになりますが!):
 テニスラケットの科学(235):スピンとストリング(33)
: ストリング表面とスピンの関係
:ストリング素材は ツルツルで滑りやすいほど スピンがかかる

● 1987年(邦訳2009年)に発行されたHoward Brodyの著書以来、「ストリング素材の摩擦が大きいほどスピンがかかる、テンションが強い(高い)ほどスピンがかかる」というのが従来の仮説でした
(その仮説がいつの間にか通説、常識になってしまいました!)。

 しかし、ボールがストリング面を転がったり滑ったりすれば摩擦は働きようがありますが、ストリング面上でボールがつぶれ、それが次第に復元しながらボールがストリング面を離れるとしたら、ストリングとボールの間の摩擦がスピンに影響するとは考えられません。

 また、丸い断面のストリング素材(たとえば図1(a))に対して、表面に凸形状を形成して摩擦を増やすことでスピン量を増大するという発想の「スピンガット」と称されるものが市販されてきました。

 しかし、ストリングはメイン(縦)とクロス(横)を交互に裏表になるように編んで張られているので(図1(b))、ストリング面にはゲージ径の大きさそのままの十分な突起がすでに形成されており、ゲージ径の10分の1にも満たないギザギザの突起形状が摩擦力に支配的であるというのも考えにくいのです。
扁平断面ストリングは、円形断面に比べて、ノッチ(溝)ができにくいという意味で、縦糸と横糸が滑りやすく、スピン量が増大するという可能性があります。(ストリングは張りにくいかもしれませんが?)