テニスラケットの科学(513)
(備忘録)2020年12月13日投稿
テンションとプレイのマッチング 1995年版(5): Part5  テンションの秘密を科学で探る 実験結果と実際のスウィングの印象の間で、 ギャップはなぜ 起こるのか ② (1) どのような実験を行ない、その結果はどのように出たのか

(備忘録)

“ なぜ実験と実際のスウィングの印象とで、ギャップが出てくるのか。
 それについて述べる前に、まず、ストリングスのテンションとボールの飛びに関する過去の研究論文を調べてみた。
 実験では、グリップを万力などで固定して、静止ラケットにボールを衝突させ、そのときの跳ね返り速度(反発速度)を測定して反発性能を評価することが多い。
 そして、ストリングスのテンションを変えて反発速度を調べた研究はいくつかあるが結論は、かならずしも一致していない。
 すなわち、「テンションを増すとインパクト後のボール速度は増した」という論文(1979年ラーソン著や1979年プラゲンホフ著、以下同)もあれば、逆に、これらの結果が誤りであることを指摘した論文もいくつかある。
 たとえば、「40、50、60ポンドでは、50ポンドで張ったラケットがもっとも反発が良く、フレームが中ぐらいの硬さのラケットでテンションによる違いが顕著であり、逆に、フレームが硬いラケットではほとんど違いがない」という結果(ベーカーとウィルソン、RESEARCH QUARTERLY 1978年)や、「55ポンドのときがもっともボールの反発速度は大きい」という結果(エリオット、RESEARCH QUARTERLY 1980年)が示されている。

(続く)
(参考資料)
テンションとプレイのマッチング:Part5
テンションの秘密を科学で探る
実験結果と実際のスウィングの印象の間で,ギャップはなぜ 起こるのか
川副嘉彦,月刊テニスジャーナル 1995年10月号,pp.55-60.