テニスラケットの科学(616)
:テニスラケットの科学(590)の補足1
:(サイト)「テニスを人一倍楽しむ方法」に掲載された記事の紹介
:【ストリングの真実】ストリングの素材によって変わるのは『反発力』ではなく『飛距離』だった

● プロでも誤解の多い「ストリング素材(ナイロン、ナチュラル、ポリエステル)」と、「スピン量」、「反発性能」、「飛距離(ボールの飛び)」の関係について、テニスラケットの科学(590)のデータを使って、「テニスを人一倍楽しむ方法」というサイトに掲載された記事を紹介させていただきます。
明快でとても分かりやすく、多くのテニス愛好家にとっては新・常識かもしれませんので、ぜひ読んでいただければと思います!
📷https://tennisenjoy.com/stringmaterialanddistance


ストリングの反発力は、その素材種類、テンション、経年変化(テンション低下)の影響をほとんど受けない。
ということが分かっています。過去の記事で扱ってきた情報ですが、実際にプレーする上で理解しておくべき補足がありますので、今回紹介したいと思います。
Contents
1 ストリングの反発性能は素材の違いによる影響をうけない
2 ストリングの素材が変わるとスピン量が変わる→その影響で弾道が変わる→その結果として飛距離が変わる
3 まとめ
:同じ打ち方をしている場合、ナイロン>ナチュラル>ポリエステルの順で飛距離が出ることを理解してストリングを選択しよう


素材(ナイロン、ナチュラル、ポリエステル)の違いによる
・打球の速さは、ほぼ同じ(0.7%の範囲)
・水平から上方向への打球の方向(角度)は、おおよそ
ナイロン(10度)、
ナチュラル(8度)、
ポリエステル(6度)
川副研究室 テニスラケットの科学(590)より
上記引用の通り、弾道に差が出るにもかかわらず、打球スピードは素材による差がほとんどないため、結果として飛距離は、
ナイロン>ナチュラル>ポリエステル
となるわけです。


まとめ:
同じ打ち方をしている場合、ナイロン>ナチュラル>ポリエステルの順で飛距離が出ることを理解してストリングを選択しよう
ストリング素材の影響で変わるのは、以下の三点です。
スピン量
弾道
飛距離
全く同じ打ち方をしている場合は、ナイロンが一番飛距離が出て、次にナチュラル、一番飛距離が抑えめなのがポリエステルとなります。
留意すべき点としては、これらはボールに(意図的か否かは問わず)順回転(トップスピン)がかかっている場合の話であり、ほとんどスピンをかけないフラットな打ち方をする人であれば、素材による飛距離の差は小さくなるはずです。
ですので、一律で誰もが同じように飛距離が変わるわけではなく、普段の打ち方によって飛距離差の大小が生まれます。「飛ばしたいからポリではなくナイロンにする」という単純な理解ではなく、その人ごとの打ち方を考慮してストリングの種類を選ぶ必要がありそうです。
どれだけスピンをかけたいのか
どのような球筋で打ちたいのか
スピンによってどの程度深さをコントロールしたいのか
という観点を持ち、自分自身とのマッチングを見ながら、ストリングの素材を選択すると良いでしょう。
ストリングについての正しい理解
● 素材・テンションによる反発力の差はほとんどない
● 素材によってスピン量は変わる:大 ← ポリエステル>ナチュラル>ナイロン → 小
● 素材によってスピン量が変わる影響で弾道が変わる:高 ← ナイロン>ナチュラル>ポリエステル → 低
● 素材によって弾道が変わる影響で飛距離が変わる:長 ← ナイロン>ナチュラル>ポリエステル → 短
ストリングの素材と飛びは、「スピン量、弾道、飛距離」の三段論法で理解する


ボールの飛びの違いは、ストリング素材の反発性の違いによるのではなく、スピン量が少ない素材ほど打球速度の方向がヘッド速度の方向に近く、飛距離が伸びるということです。
川副研究室 テニスラケットの科学(590)より
📷https://kawazoe-lab.com/ten…/science-of-tennis-racket-590/

【ストリングの真実】
ストリングの素材によって変わるのは『反発力』ではなく『飛距離』だった/ストリングを科学的に理解する
2023-11-03 テニスを人一倍楽しむ方法
📷https://tennisenjoy.com/stringmaterialanddistance