テニスラケットの科学(665)
: テニスラケットの科学(664)の補足
: 遠心力増大(求心力増大:引き付け)を使って速度を増す方法もあります!
:(ブランコの加速原理) ただし、高校物理の範囲外
:大学物理!:パラメトリック加速(非線形物理)
テニスラケットの科学(664)の映像14では、遠心力の誤った使い方の例:「遠心力を使ってショットを速くする」が紹介されていますが、遠心力増大を使って速度を増す方法もあります!
・ 遠心力と求心力(引く力)は釣り合っていますが、 急に引く力を増すと、 それと釣り合う(おもりの)遠心力が増して、 (おもりの)周速が増すという原理です。
・ ただし、これは高校物理の範囲外:大学物理!:パラメトリック加速(非線形物理)の適用ですが、少し難しいので、参考記事を読んでいただければと思います。
(参考記事)
・ テニスラケットの科学(395):
テニスラケットの科学(118)*の補足
* テニスラケットの科学(118) テニス・スイングにおけるパラメトリック加速10:立ちこぎブランコの加速(振幅増大)原理 (Parametric Acceleration in Tennis Swing10: The principle of acceleration (amplitude increase) of a swing (standing rowing)
https://kawazoe-lab.com/ten…/science-of-tennis-racket-395/
(補足1)
単振り子のパラメトリック加速(ブランコの加速原理)
図1のように、 糸の先におもりをつけた振り子(単振り子)の糸の他端を支点に固定しないで、支点に掛けて、 その先を周期的に引くと、 振り子の振れ幅をだんだん大きくすることができます。
(追記)2024年3月22日
・ 遠心力と求心力(引く力)は釣り合っていますが、 急に引く力を増すと、 それと釣り合う遠心力が増して、 周速(重りの速度)が増すという原理です。
参考文献
・戸田盛和、「おもちゃセミナー」、日本評論社、1973年,pp.34.
(補足2)
単振り子のパラメトリック加速原理(ブランコの加速原理)
図2のように、 おもりが下へきたときにこれを引き上げて、 左あるいは右へ一番ふれたときに糸をゆるめておもりをおろすようにすれば、 振子の振幅が増大していきます。
おもりに加わる遠心力に対して仕事をするようにおもりを引き上げることによって 振り子のエネルギを増大させるのです。
(回転角)速度の大きいときに振り子の長さを減少させ、 速度の小さいときに長さを増加させるのです。
長さを減少させるときに力がなす仕事は、 長さを増加させるときにもどす仕事よりも大きく、 この仕事の余りが、 振子の振動エネルギを増加させます。
詳細な理論と計算は、 ハルトークやチモシェンコの振動学の教科書に書かれています。
参考文献
・戸田盛和、「おもちゃセミナー」、日本評論社、1973年,pp.45.
・チモシェンコ、工業振動学、谷下・渡辺訳、1956年、東京図書、p.156(原著第1版は1928年)
(補足3)
テニスのスイングにおけるパラメトリック加速:
テニスのスイングにおいて、 ラケット・ヘッド速度が最大(遠心力が最大)の時にラケットが引き付けられると、 力がなす仕事が最大になるので、 そのエネルギがヘッド速度を加速させることになるのでしょう!
(補足4)
パラメトリック励振の原理によると、 ラケットによるスイングを振り子運動とみなすと、 (ラケット・ヘッド)速度が最大になる直前に(最大の遠心力に逆らって)ラケットが引き付けられると、 その力がなす仕事が最大になり、 その最大のエネルギがヘッド速度を最も効率よく加速させることになります!