テニスラケットの科学(666)
:テニス書・テニス雑誌の解説に「異見」あり
:ストリングの①「張り上がりテンション」と ②「面圧」の解説*に異見あり
* (引用記事)
・The Digest スマッシュ 【テニスストリング基礎知識】
「ハイブリッドは横糸のテンションを下げたほうがいい」と勧められたが、どうする
<SMASH> スマッシュ編集部 2024.03.23
https://thedigestweb.com/tennis/detail/id=78559
ストリンガーの回答に「異見あり」です。
“横糸がポリエステル製の場合、横糸の面圧のみが高くなるため、フレームの変形を防ぐ意味合いとして横糸のテンションを下げてバランスをとることがあります。”という回答には、「面圧」に誤解があります。
「面圧」の定義は、編まれた縦糸と横糸の面全体の面剛性であって、横糸だけの面圧というのはありません。
「面圧」の測定法と測定結果の例については、次稿において紹介させていただきます。
“現在のラケットはカーボンがとても頑丈なため、よほどの高テンション(60ポンド以上)や縦横のテンション差を5ポンド以上で張らない限りフレームが変形する心配はありません。”という回答には誤解があります。
図2は、縦糸55ポンド、横糸52ポンドで張った場合について、 ストリング張り上がり直後のテンション分布と24時間経過後のテンション分布の測定結果を示していますが、 張り上がりテンションは1本1本異なっており、 加えた荷重(テンション)通りにはならず、 全体的にテンションは低くなっており、 特に横糸のテンションは加えた荷重(テンション)と較べてかなり低い数値を示しています。
すなわち、縦横のテンション差を5ポンド程度で張っても、実際はどのようになっているかわかりません。
ストリンガーさんにまかせて、フレームが変形しないように張ればよいのではないでしょうか。
(参考記事)
テニスラケットの科学(226):
スピンとストリング(24) : プロのストリンガーも誤解しているストリング・テンション :講演論文(1999年)紹介 :テニスラケットのフレーム振動におよばすストリングスの張り方・張力分布の影響(1本張りと2本張りの張力分布の違いの影響)―その1
https://kawazoe-lab.com/ten…/science-of-tennis-racket-226/
テニスラケットの科学(227):
スピンとストリング(25) : プロのストリンガーも誤解しているストリング・テンション :講演論文(1999年)紹介 :テニスラケットのフレーム振動におよばすストリングスの張り方・張力分布の影響(1本張りと2本張りの張力分布の違いの影響)―その2
https://kawazoe-lab.com/ten…/science-of-tennis-racket-227/
テニスラケットの科学(228):
スピンとストリング(26) :
プロのストリンガーも誤解しているストリング・テンション :
講演論文(1999年)紹介 :テニスラケットのフレーム振動におよばすストリングスの張り方・張力分布の影響(1本張りと2本張りの張力分布の違いの影響)―その3
https://kawazoe-lab.com/ten…/science-of-tennis-racket-228/