テニスラケットの科学(668)
:テニスラケットの科学(86)*の補足2
:フェデラー選手のサーブ
:インパクトにおける身体とラケットの操縦法(拡大画像)
*テニスラケットの科学(86)テニス・スイングにおけるパラメトリック加速(1):
フェデラー選手のサーブ (Parametric Acceleration in Tennis Swing: Federer’s Service)
https://kawazoe-lab.com/tenn…/science-of-tennis-racket-86/
・ ラケット・ヘッドが下から上に振りあがるときに、ボールに縦回転(トップスピン)がかかりますが(ストロークの場合と同じです)、 しばしば、指導書**では、 腕の動きとラケットの動きを混同して、 サーブは、腕を振り上げる、あるいは下から上に打つという記述が見られます。
しかし、フェデラー選手などのプロの映像や画像を見ると(例えば図1)、腕を振り降ろしてヘッドが振り上がるときにインパクトをしているようです。
**テニスラケットの科学(129) テニス書・テニス雑誌の解説に異見あり(23):「理系なテニス」(1) ナダルとジョコビッチのサーブ(理論と体感)
https://kawazoe-lab.com/ten…/science-of-tennis-racket-129/ 参照
● サービスの場合を簡単に考えると、肘や手首の角度を一定にして、肩を「支点」にして肩に回転トルク(力点)を与えて「腕とラケット」を振る回転運動とみなすことができます。
肩(支点)にトルク(力点)を加えると回転角速度はゼロから加速しますが、肩の速度は小さくても、支点から遠い作用点のラケットヘッドの速度は拡大されて加速されます。
ただし、実際は、肩・腕の回旋などを含みますからもっと複雑です。
重要なのは、 肩に回転トルクを与える際に、振り上げるのと、振り降ろすのでは、加速のしかたが大きく異なるということです。
腕(3キログラム)とラケット(300グラム)の重量を振り降ろしながらトルクを出す方が、 3キロ以上の重量を振り上げながらトルクを出すよりは、 はるかに速く腕とラケットを振ることができるはずです。
● また、 下から上へ振り上げた腕(グリップ部)を、 インパクト直前で、身体側に一瞬、 引き付ける(上から下に振り下ろす)ことにより(求心力と釣り合う)ラケットヘッドの遠心力が増大し、 ラケットヘッドが加速して下から上へ振り上がり、 ヘッド速度がインパクトで最大になることを示しています。
したがって、打球速度とスピン量が最大になります。
図1: フェデラー選手のサーブ:腕を振り降ろしてヘッドが振り上がるときにインパクト
(参考記事)
・テニスラケットの科学(359)
:テニスラケットの科学(86)*の補足
*テニス・スイングにおけるパラメトリック加速(1):
フェデラーのサーブ (Parametric Acceleration in Tennis Swing: Federer’s Service)
https://kawazoe-lab.com/ten…/science-of-tennis-racket-359/