テニスラケットの科学(669)
: 伊達公子さんのラケット論
: 譲れないこだわりはグリップ*

伊達公子さん執筆の記事*を大変興味深く拝読しました!
 ラケットのほとんどの広告やカタログには、自分の感覚より飛ぶとか、想像以上にスピンがかかるとか、想像と異なることが良いことのように(反発力やスピン量の実測データは無いにもかかわらず?)書かれていますが、伊達公子さんは、自分の手が感じるフィーリングと実際のボール(リアル性能?)との誤差が少ないことを重視されています。
 ボールコントロールがしやすいからです!
 本来、自分の手が感じるフィーリングと実際のボール(宣伝広告の性能ではなく、リアル性能?)は、一致するはずですね!
 深い経験に基づく納得のいく伊達公子さんのラケット論ですね!
(以下抜粋引用*です)
” 高校に入ってから先生に勧められて使っていたのが、ヨネックスの『R-22』。続けて『R-24』、『R-50』と使用し、少し硬めの『R-50』が一番好きでした。

” セカンドキャリアの時は、ラケットの飛びがよくなっていましたね。最初に使った『RQiS2 Tour』が大好きでした。
 これは海外の選手もみんな気に入っていました。
 手でコントロールできる感じが良かったことを覚えています。
 ラケットを選ぶ時の基準はフィーリングで、回転のかかりやすさやボールの収まり具合も確認します。
 自分の手のフィーリングと実際のボールとの誤差が少ないことも大切です。
 ギャップが大きいほどコントロールが難しくなります。

” 私は手が大きい方なので、グリップは太めです。
 ファーストキャリアの最初の頃に、細めのグリップを使い手首を痛めそうになったことがあったので、太めに変えました。
 現在もグリップエンドに向けて太くなっていく形状です。
 グリップにはこだわっていました。
 私は人差し指のひっかかりを重視しており、人差し指の部分にだけ極端にくぼみができるように作ってもらっていました。
 その感覚、位置もしっかり理解してもらわないとダメなので、ラケットの元グリップは常に同じ人に巻いてもらっていたほどです。
 オーバーグリップテープは必ず自分で試合前に巻きました。
 元グリップのくぼみに合わせて同じように巻くことで、より引っ掛かるようにしていました。
 その日の調子に合わせてグリップテープの引っ張り具合も変えるため、自分の感覚が重要で人任せにはできない作業です。

” 引退後はラケットのこだわりはかなりなくなりました。
 そして、重さもグリップの太さも、当然ながら現役のままではつらくなってきます。
 今は、現状に合ったカスタマイズを模索しているところです。
 テニスを長年しているとマンネリ化することもあるので、ラケットを変えるというのは気分転換の1つになります。

*引用記事:
【伊達公子】時代に合わせて変えたラケット。譲れないこだわりはグリップ<SMASH>
伊達公子  2024.04.05
文●伊達公子
撮影協力/株式会社SIXINCH.ジャパン
https://thedigestweb.com/tennis/detail/id=78999