テニスラケットの科学(689)
:片手バックハンド
:“ 片手バック、消える? 200キロ超の球、リターン困難 リーチやスライス、まだ有効   (ロンドン=内田快)2024年7月10日 朝日新聞 “
:ウィンブルドン2024におけるディミトロフ選手、ムゼッティ選手、全豪2021におけるチチパス選手の片手バックハンド

 以下は朝日新聞記事の抜粋引用*です。
“ 
 「ええ、私たちは最後のパンダです」。
 絶滅の恐れがある動物になぞらえて、世界ランキング10位のグリゴール・ディミトロフ(ブルガリア)が自嘲した。
 男子シングルス2回戦を突破した後の会見だった。
 優勝7度のピート・サンプラス(米)に、8度のロジャー・フェデラー(スイス)。
 かつてウィンブルドンを沸かせていたのは、片手バックハンドの使い手たちだった。
 もっとさかのぼれば、現在の世界ランキングができた1973年のトップ10のうち9人がそうだった。
 だが、この2月、テニス界に衝撃が走った。
 初めて10位以内に片手バックの選手がいなくなったのだ。
 両手バックの世界4位アレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)は「見た目は片手バックの方が美しい。
 ただ、現代テニスは片手バックでプレーするにはボールが速すぎる」。
 時速200キロをはるかに超える球を片手で受け止め、コントロールして返すのは困難だという。
 ディミトロフも今後さらに片手バックの選手が減っていくだろう、と認める。
 ただ、リーチが長かったり、スライスが使いやすかったり。
 特長を生かせば、まだ戦いようはあると主張する。
 いまトップ30には、ディミトロフ、11位のステファノス・チチパス(ギリシャ)、25位のロレンツォ・ムゼッティ(イタリア)がいる。
 フェデラーを敬愛している3人だ。
 そのうちのムゼッティが8日の男子シングルス4回戦で58位のジョバンニ・ムペツィペリカール(フランス)を下して、片手バックでは唯一の8強入りを果たした。
 ムゼッティは10歳の頃、ほとんどバックはスライスでプレーしていたという。
 その得意の球がボールが滑る芝では生きる。
 「スライスとトップスピンの組み合わせを有効に使いたい」
 片手バックの優雅さを愛するファンの期待を背に、両手使いたちに挑戦する。

(引用文献)
* 片手バック、消える? 200キロ超の球、リターン困難 リーチやスライス、まだ有効
(ロンドン=内田快)2024年 7月10日 朝日新聞
https://digital.asahi.com/articles/DA3S15979300.html

・画像1:sci688-01-図1–backhand-from 朝日新聞
(参考までに:以下は、片手バックハンドに注目した大会ホームページからの抜粋・引用・編集動画です。)

・動画1:ディミトロフ選手の片手バックハンド(2R wimbledon2024) vs Monfis

・動画2:ディミトロフ選手の片手バックハンド(3R wimbledon2024、途中棄権) vs Medvedev

・動画3:ムゼッチ選手の片手バックハンド(semi-final wimbledon2024) vs Djokovic

・動画4:チチパス選手の片手バックハンド(Quarterfinal AustralianOpen2021) vs Nadal **

:素晴らしい攻防です!
 マッチポイントは、
 片手バックのダウン・ザ・ラインです!
(抜粋・引用動画)
・** Rafael Nadal v Stefanos Tsitsipas Full Match | Australian Open 2021 Quarterfinal (youtube.com)