テニスラケットの科学(691)
:テニスラケットの科学(575)*1の補足1
:ストリングの「テンション・ロス」(テンション維持率)の迷信
:質問 ポリエステルのように「テンション・ロス」が大きいと何か問題ですか?
回答 何も問題ない!(川副研究室)
画像1
: 「テンション・ロス」が大きくても反発性能は変わらない。
ストリング面の振動数が低くなる(音の高さが低くなる)だけ!
画像2
: ” ボルグはプレーする時いつもそうしていました。
彼は80ポンドでストリングを張り、その後、ストリングを緩めるためにストリング面に乗っかって、ストリング面を踏みしめていたのです。” *1
映像1: Golden Age of Tennis テニスの黄金時代 ボルグ選手とマッケンロー選手
sci691-03-575補足1-tention loss-borg-Edited by Kawazoe with Golden Age Of Tennis Clubhouse-1Mb.mp4
・(全仏オープン男子シングルス4連覇、ウィンブルドン選手権5連覇の)ボルグ選手は、小さいラケット面に 80 ポンド でストリングを張り、その後、ストリングを緩めるためにストリング面に乗っかって、ストリング面を踏みしめていた!*1
映像は、能動的(積極的な)「張り上げストリングのテンション・ロス」の例ですね!
・ストリング面に乗っかって、ストリング面を踏みしめると、張り上げたストリングが、縦糸と横糸、グロメットやフレームに馴染んで、試合のときの感覚に近くなるはずですね!
・ポリエステル・ストリングのテンション・ロスがデメリットであるかのような解説記事が多くありますが、ラケットの性能には何の問題もありません。
テニスのプレーにおいて、一回一回のインパクトでは、張り上げたテンション(張力)よりはるかに大きなテンション(張力)がかかります。
インパクトのたびに、自然なテンション・ロス以上に、ストリングは緩むはずですね!
・張り上げたストリングのテンション・ロスは、インパクトには何の影響もないはずです。
かって、伊達公子選手も、試合前日(?)に、張り上がったラケットのストリング面を踏みしめて、ボルグ選手と同じことをやっている光景があったように記憶(?)しています!
“Glenn Muller 氏のコメント:
Borg always did that when played.
He strung at 80 pounds and would loosen by standing on the strings.
”
ボルグはプレーする時いつもそうしていました。
彼は80ポンドでストリングを張り、その後、ストリングを緩めるためにストリング面に乗っかって、ストリング面を踏みしめていたのです。”
(川副・直訳)
from
Golden Age Of Tennis Clubhouse
https://www.facebook.com/tuncayyenilmez1970/videos/936637514100068/?idorvanity=1151657154906693
・テンション・ロス、テンション維持率が低いことが、理由もなく、欠点のように言われることが多いですが、テンション維持率が低いことは、音や振動数が低いという感覚的なこと以外は、何の問題もないはずです。
・ポリエステルは硬くてツルツルしていて、摩擦が少ないので、張った後のゆるみはありますが、プレイ中には1球1球打球するごとに、張り上がりテンションの何倍もの大きなテンションでガツンガツンと激しく繰り返し引っ張られたり、緩めたりされるので、張った後のテンション維持率が低いことなどは、打球に関しては無視できるレベルです。
繰り返し打撃試験により、相当な回数の繰り返し打撃によっても、反発係数は低下しないという実験結果が海外で報告されています。
・振動数や音の高さなどの打感の好みを重視しない場合は、打球にはほとんど影響しないので、テンションロス(テンションが張った時より低下しやすい)は何も気にする必要はないでしょう。
画像3、画像4:
・ストリングは、古くなって(4年経過して)テンション・ロスが大きくても反発係数は低下しない(実測結果)**
** ストリングの反発係数(COR)の寿命に関するR Crossら(2010)の実験結果をグラフ化したものです。
ストリング素材は、ナイロン1:Wilson NXT、 ナイロン2:Tecfiber NGR2、 4年ナイロン:4年経過したナイロンです。
ストリングは、古くなっても(4年経過)反発係数は低下しません。
(編集:川副研究室)
(参考記事)
・*1 テニスラケットの科学(575)
:ストリングの性能
:張り上げたストリングのテンション・ロスはインパクトには何の問題もない!
:能動的(積極的な)「張り上げストリングのテンション・ロス」の例
https://kawazoe-lab.com/ten…/science-of-tennis-racket-575/
・*2 テニスラケットの科学(588)
:スピン量と打球速度はインパクト(1000分の3~5秒)で決まる⑦
:打球速度とスピンの生成原理(例4)
「使用済みストリングは(ストリングが古くなると)、ボールが飛び過ぎる!」のはなぜか?
(新しいストリングと古いストリングのスピン性能とボールの飛びのメカニズム)
https://kawazoe-lab.com/ten…/science-of-tennis-racket-588/
・ テニスラケットの科学(630)
:テニス書・テニス雑誌の解説に異見あり!
:打撃用具としてのストリングの反発性能についての大誤解を解く!
:ストリングの弾性率(ヤング率)も弾力性(伸縮性)もストリングの反発係数には無関係!
https://kawazoe-lab.com/ten…/science-of-tennis-racket-630/
・ テニスラケットの科学(295):テニス書・テニス雑誌の解説に異見あり(39): 【ストリング選びに役立つ基礎用語】(4)「ポリエステル」
https://kawazoe-lab.com/ten…/science-of-tennis-racket-295/