テニスラケットの科学(729)
:テニスラケットの科学(721)の補足7
:(備忘録)慶應義塾大学 総合政策・環境情報学部講義「スポーツエンジニアリング」 (ゲストスピーカー 川副嘉彦) 2024年11月8日(金)、9時25分~10時55分
:「テニスを科学する:テニスボールとラケットの衝突」
:実用的な衝突速度では、張り上げテンションの違いによる接触時間の差はほとんどない!

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Brody氏のグラフは、ボールとラケットの衝突速度が10m/s(時速36キロ)以下の場合です.実用的な衝突速度では、張り上げテンションの違いによる接触時間の差はほとんどなくなります!.

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・衝突速度が大きいほど、ストリング面のたわみが大きいほど、ストリング面もボールも硬くなるので、接触時間は短くなります。
・手でボールやストリング面を押してみると、次第に硬くなっていくのが、すぐわかりますね!
ストリング面を2キロぐらいの力で手で押すと、1ミリ程度たわみますが、2キロずつ押す力を増していくと、たわませるのが次第に難しくなってきます。
・ ボールもストリング面も、変形するほど、硬くなっていきます。
・ これはストリングが伸びなくなるのではなくて、ストリングを直角方向に押すという構造上の(幾何学的)非線形性です。
・ 硬いもの同士の衝突ほど、接触時間は短くなります。
・ 接触時間を長くするのは、スピン量です!
スイング速度が一定としたら、スピン量が増すと、打球方向の衝突速度成分が減少し、変形量が少なくなるからです。


(参考記事)
・テニスラケットの科学(541)
:テニス書・テニス雑誌の解説に異見あり(51)
:ストリング・テンションとラケット性能➃
:ボールとラケットの接触時間
https://kawazoe-lab.com/ten…/science-of-tennis-racket-541/