テニスラケットの科学(745)
:テニスラケットの科学(721)の補足21
:「テニスを科学する:テニスボールとラケットの衝突」
:ストリング素材(ポリエステル、ナチュラル、ナイロン)と打球速度、スピン量 (コート上での実打実験のトラックマンによる測定結果)
(備忘録)
慶應義塾大学 総合政策・環境情報学部講義「スポーツエンジニアリング
(ゲストスピーカー 川副嘉彦) 2024年11月8日(金)、9時25分~10時55分
・画像1
:フラット・サーブ、スライス・サーブ、スピン・スピンサーブにおけるナチュラルとポリ(ノーマル)のスピン量とスピードの測定値比較
図(グラフ)の横軸は、フラット・サーブ、スライス・サーブ、スピン・サーブの3種類、
左図の縦軸は、スピン量(毎分回転数RPM)、右図の縦軸は、その時の打球速度(ボールのスピード)です。
ナチュラル(赤)とポリエステル(青)を比較しています。
予想されるように、特にスピン・サーブにおいて、ポリエステルのスピン性能がナチュラルより優れていることを示しています。
どのサーブにおいても、打球速度は、ナチュラルとポリエステルに違いはありません。
ナチュラルとポリエステルで打球速度に違いが無いということは、手に伝わる衝撃も違いがないことを意味しています。
ボールを飛ばす源がボールとラケットの衝突における衝撃力で、それが何分の1かになって腕に伝わるからです。
ラケットの設計が良ければ、ラケットによって手に伝わる衝撃が最小になる握りの位置は異なりますが、短すぎず、長すぎず、ハンドルを把持すれば、たいていは気にならない大きさです。
以上から、ポリエステルの武器としての性能は、すでにナチュラルを超えていることを示す実測例になっています。
楽器としての性能は、神様が創った(長い年月を経て経験により創られてきた)ナチュラル(天然)ガット(羊や牛の腸)に比べて、人間が創った人工の弦の音や振動は、永遠にかなわないのかもしれませんが!
(注)
・ 衝突速度が10m/秒 以下、例えば、2メートルの高さからボールを落下させた場合のような衝突速度では.張り上がりテンション、ストリング素材、ストリング太さなどによる違いは出るかと思いますが、実用的な衝突速度では、理論的(物理的)に、衝突による影響の方がはるかに大きくなります.
(参考記事)
・ テニスラケットの科学(468)
:ストリング素材とボールの飛び:トラックマンによる測定例(ナチュラルとポリエステルの比較)
https://kawazoe-lab.com/ten…/science-of-tennis-racket-468/
・テニスラケットの科学(469)
:ストリング素材とスピン量
:トラックマンによる測定例 フラット・サーブ、スライス・サーブ、スピン・スピンサーブにおけるナチュラルとポリの比較
https://kawazoe-lab.com/…/science-of-tennis-racket-469-2/