テニスラケットの科学（764）
：テニスと野球のバック・スイング（Back Swing､テークバック､テイクバック）とフォワード・スイングについて
：大谷翔平選手の打撃についての（世界の）王貞治さんの解説に異見あり！
：構えにおけるグリップ位置が深く、肩・上腕の回旋（切り返し）＊によるバット・ヘッド（バックスイング）のトップが深いのが特大ホームランの秘訣では！ 　（ボールとバットの接触時間が長いのではなく、フォワードスイングの加速距離が長く、解剖学的にヘッドが下から上へ自然に出る）

下記はテレビ番組「プロ野球　レジェン堂」での王貞治氏の話に関する記事＊＊の抜粋引用です．
　その中で、大谷翔平選手の打撃について語った王貞治さんのコメントを大変興味深く拝聴しましたが、「異見あり！」です．

“　伝説となっている吊り下げた短冊を日本刀で切るトレーニングを振り返り、「バットは水平に振っても多少下がる。大きく下がるのを少なくしようということですね。
　実際にああいうふうに打つという気はないんです。
　そういう感覚で練習してちょうどいい。
　ああいうふうにやって打とうとは思ってないんです」と解説。
”
“「彼（大谷翔平選手）も水平からしたらちょっと下から出る。
　これはバットの先が重いから当然なんです」と王氏。
　そして「彼が一番いいのはフォロースルーが大きいですよね。
　ボールとバットが付いている時間が長いので彼のホームランは飛距離が出るんだと思う。
“
と王貞治氏が語っています．
　これは、とても重要なポイントだと思いますが、大谷選手は、バットの先が重いから下から上にスイングしているのではなく、構えでグリップ位置が深く（ピッチャーから遠い）、肩・上腕を回旋＊しながらバックスイング　➡　フォワードスイング　➡　インパクトに至ると、
　バックスイングにおけるバットのヘッド位置が深くなり､フォワードスイングにおいてバットのヘッドは、肩を支点にして（解剖学的に肩は高い位置にあるので）自然に下から上へ、しかもインパクトまでのスイング距離が長くなり、加速時間と加速距離が長くなり、結果として打球速度も速くなり、ホームランの飛距離も出るということになります．
　これが、大谷選手の打撃の特長かと思います．
　大谷選手のスイングは、イチロー選手とも共通しています．
　テニスのフェデラー選手のストローク（現代の高速テニス）とも共通しています．
・また、ボールとバットが付いている時間が長いのではなく、フォワードスイングの時間が長くなるのであって、「ボールとバットが付いている時間」（接触時間､コンタクト・タイム）は､誤解が多いのですが、インパクトでのバット・ヘッド速度､あるいは打球速度が速いほど、接触時間は短くなります＊＊＊．

＊肩・上腕の回旋について：
　野球の場合は、両手打ちなので、左右の腕の回旋は左打者と右打者で逆になりますが､左右の手の使い方は個人差があるかもしれません．
　詳細は、できれば大谷選手の動画を分析して別稿で紹介させていただければと思います．
　大谷選手の場合は、右腕は外旋から内旋、左腕は内旋から外旋でしょうか！
（構え：右腕は外旋、左腕は内旋　➡　フォワード・スイング：右腕は内旋、左腕は外旋）
＊＊＊
（参考論文）
・Alan M. Nathan,
　Dynamics of the Baseball-Bat Collision,
　American Journal of Physics 68(11),November 2000,
pp.979-985.
https://www.researchgate.net/…/228894251_Dynamics_of…
記
”　ソフトバンクの王貞治球団会長（84）が18日放送のBSフジ「プロ野球　レジェン堂」（火曜後10・00）にゲスト出演。
　ドジャースの大谷翔平投手（30）の打撃について語る場面があった。
“
“
　伝説となっている吊り下げた短冊を日本刀で切るトレーニングを振り返り、「バットは水平に振っても多少下がる。大きく下がるのを少なくしようということですね。
　実際にああいうふうに打つという気はないんです。
　そういう感覚で練習してちょうどいい。
　ああいうふうにやって打とうとは思ってないんです」と解説。
　番組MCのフリーアナウンサー・徳光和夫が「それは大谷にも言えることですか？」と質問すると、「彼も水平からしたらちょっと下から出る。
　これはバットの先が重いから当然なんです」と王氏。
　そして「彼が一番いいのはフォロースルーが大きいですよね。
　ボールとバットが付いている時間が長いので彼のホームランは飛距離が出るんだと思う。
　あれはたいしたもんだと思う」と話していた。
”
＊＊
　王貞治氏が語るドジャース・大谷翔平の打撃「彼が一番いいのは…あれはたいしたもん」
　スポーツニッポン新聞社 2025年2月20日
https://www.msn.com/…/%E7%8E%8B%E8%B2%9E…/ar-AA1zrdee…