テニスラケットの科学(775)
:テニスラケットの科学(764)の補足8
:インパクトにおける接触時間(打球速度が速いほど短い)
:野球バットとボールは 1/1000秒 程度,  テニスラケットとボールは 5/1000 秒 (衝突速度が遅い場合)~ 2/1000 秒 (衝突速度が大きい場合)

・インパクトにおいてボールと打撃用具が接触している時間は、接触時間、衝突時間、Dwell time, Impact time, Contact time などと表現されます.

 野球バットとボールの接触時間はほぼ 1/1000 秒, 選手が感知できない短い時間*(画像1)

画像ー1


 :ボールとバットが接触した瞬間に(ボールもバットも急速変形・急速復原して)跳ね返る
 :手が感じるのはインパクト後のバットの残留振動
* 野球のインパクトにおけるバットとボールの接触時間は, 
1/1000 秒 というデータ*があります.
 * R. Cross: Physics of Baseball & Softball, pp. 261-277, Springer Science+Business Media (2011)
・大谷翔平選手の打撃について(世界の)王貞治さんが
 「彼が一番いいのはフォロースルーが大きいですよね。
 ボールとバットが付いている時間が長いので彼のホームランは飛距離が出るんだと思う。」
とコメントされていますが、
 野球バットとボールの接触時間はほぼ 1/1000秒, ボールとバットの衝突速度が大きいほど、芯で当たる(フラット、正面衝突)ほど、打球速度が速いほど、「ボールとバットが付いている時間(接触時間)」は短くなります.
 なぜかというと、インパクトにおいてボールもバットも変形(たわみ、つぶれ)が大きいほど,面圧(ボールのバネ剛性とバットの面剛性)が大きくなるからです.
 バットのヘッド・速度が大きいほど、接触時間は短くなりますが、ボールとバットが付いて移動する距離は長くなると思います.
 テニスの場合は画像解析やシミュレーション例があります.
 ボールとラケットの接触時間の間に移動する距離は5センチメートル程度です.
 インパクトにおけるボールと打撃用具の接触時間のメカニズムと算出方法 (画像2)

画像ー2

(参考記事)

テニスラケットの科学(764)
::テニスと野球のバック・スイング(Back Swing、テークバック、テイクバック)とフォワード・スイングについて
:大谷翔平選手の打撃についての(世界の)王貞治さんの解説に異見あり!
:ボールとバットの接触時間が長いのではなく、フォワードスイングの加速距離が長く、解剖学的にヘッドが下から上へ自然に出るのが特大ホームランの秘訣では!  
https://kawazoe-lab.com/ten…/science-of-tennis-racket-764/ 

テニスラケットの科学(730)
:テニスラケットの科学(721)の補足8
:(備忘録)慶應義塾大学 総合政策・環境情報学部講義「スポーツエンジニアリング」 (ゲストスピーカー 川副嘉彦) 2024年11月8日(金)、9時25分~10時55分
:「テニスを科学する:テニスボールとラケットの衝突」
:ストリングの(張り上げ)テンションがラケットの反発力、打球速度に影響しない物理的な理由
https://kawazoe-lab.com/ten…/science-of-tennis-racket-730/ 

テニスラケットの科学(214)
:スピンとストリング(12) : プロのストリンガーも誤解しているストリング・テンション :(張り上がり)テンションと接触時間の実測例とシミュレーション結果の比較
https://kawazoe-lab.com/ten…/science-of-tennis-racket-214/ 

テニスラケットの科学(211)
:スピンとストリング (9) : プロのストリンガーも誤解しているストリング・テンション :実用範囲では「接触時間」に(張り上がり)「テンション」が影響しない理由
https://kawazoe-lab.com/tenn…/science-of-tennis-racket-211 

テニスラケットの科学(541)
:テニス書・テニス雑誌の解説に異見あり(51)
:ストリング・テンションとラケット性能➃
:ボールとラケットの接触時間
https://kawazoe-lab.com/ten…/science-of-tennis-racket-541/ 

テニスラケットの科学(537)
:テニス書・テニス雑誌の解説に異見あり(47)
:ストリングの太さ(ゲージ)とラケット性能➃
:誤解されやすいインパクトにおけるストリング面の硬さ(面圧、復原バネの強さ)
:インパクトにおけるストリング面は、幾何学的な構造上、たわむほど硬くなる(たわみにくくなる、面圧が高くなる)!
https://kawazoe-lab.com/ten…/science-of-tennis-racket-537/ 

テニスラケットの科学(234)
:スピンとストリング(32)
: プロのストリンガーも誤解しているストリング・テンション
:(張り上がり)面圧と(インパクトにおける)面圧―まとめ
https://kawazoe-lab.com/ten…/science-of-tennis-racket-234/ 

テニスラケットの科学(206)
:スピンとストリング(4)
:ストリング・テンションと反発係数(パワー)についての誤解の歴史
https://kawazoe-lab.com/ten…/science-of-tennis-racket-206/