テニスラケットの科学(78)  モニカ・セレス選手(最高位ランキング1位)のフェ-ス面積130 in2、全長28.5 in の大きなラケット

昔、超デカラケに超ハイ・テンションでストリングスを張ったモニカ・セレス選手(最高位ランキング1位)のラケット SRQ1000(250 g)が話題になったことがあります。
フェース(打球面)面積130 in2(平方インチ)、全長28.5 in(インチ)というレギュレーションの限界値に近い大きなラケットにテンション90 lbs(ポンド)という限界の強さで張ったラケットです。
若手のパワーテニス台頭に対抗するために彼女が経験から選んだラケットだということでした。

彼女がこのケットを選んだ理由は、どう説明できるでしょうか。

セレス選手のフェィス面の大きいラケットは反発性を重視したためです。
ストリングスの超ハイ・テンションは、超デカラケの打球感の悪さとコントロール性の弱点をカバーしようとしたのでしょう。
彼女の強打を考えて、強度的に厚ラケ(フレーム厚:約30 mm)にならざるを得ないと考えたのでしょう。
また、超デカラケの操作性の悪さは、250 g という軽量化によってカバーし、ヘッド速度が落ちるというデカラケの弱点は、軽量化と長ラケ化によってカバーしようとしたのでしょう。

しかし、彼女はこの大きなラケットの使用をまもなくやめました。

その理由は説明されていませんが、重量バランスとスイング・ウェイトがやや小さめで反発性が十分でないこと、さらに、軽量の超デカラケは手に伝わる衝撃振動が大きいことがスポーツ工学から予測される理由です。