テニスラケットの科学(780)
:テニスラケットの科学(777)の補足2 
:論文と実験結果*の紹介とコメント(その3)
:テニス・ラケットの横糸の本数は反発力(反発速度)に影響するか?
(論文2014年紹介と川副研究室のコメント )

画像1
:テニス・ラケットの横糸の本数は反発力(反発速度)に影響するのか?
(論文2014年紹介と川副研究室のコメント)
・結論: 実験結果によると、ラケットのクロスストリング(横糸)の本数19本と12本の違いは、反発力(ボールの反発速度)に影響しない!

画像ー1

画像2
:ラケットのクロスストリング(横糸)の本数19本と12本(ストリング面の粗密のパターン)の違いは反発力(ボールの反発速度)に影響しない!
 (注:縦軸の反発速度の目盛が拡大されているのでバラつきが大きく見えることに注意! 速度目盛16~26 m/s)

画像ー2

 ストリングの目が粗いパターンは、ストリングのたわみが大きくなり、それだけボールを飛ばす力が大きくなるという解説**を見かけますが、
 論文の実験結果*によると、横糸の本数が19本と12本の違いはありません.
 また、ストリングの本数が少なくなれば少なくなるほど、目が粗くなりパワーやスピンが両方とも増すという解説もありますが、実験結果と矛盾しています.
**
・ https://improving-tennis.com/strings-pattern 
・ https://tennis-advantage7.com/…/strings-pattern-analysis/ 
・ https://tennis.j-treasure.com/string-kankaku/#i2  
など.
・ たわみが大きくなると、反発力が大きくなるというのは、同じラケットとストリングでボールとの衝突速度が増す場合であって、目の粗いパターンは、ストリング面のバネの強さ(面バネ剛性)が弱いので、(衝突速度やたわみ量の大きさによって異なりますが、)反発力が大きいことにはなりません.

(引用文献)
* Measurement of Main Strings Movement and its Effect on Tennis Ball Spin,
December 2014, Procedia Engineering, 72, pp. 557-562.
Yudai Washida, Nathan Elliott and Tom Allen.
(川副訳)
「メインストリングの動きの測定とテニスボールのスピンへの影響」

(参考記事)
・テニスラケットの科学(777)
:クロス・ストリング(横糸)の本数はスナップバック(スピン量増大)に影響するか?
:論文と実験結果*の紹介と川副研究室のコメント
「メインストリングの動きの測定とテニスボールのスピンへの影響」*
:(コメント:川副研究室)
「実際のプレーに相当するトップスピン(入射速度30 m/s, 入射角約40度)では、横糸の本数はほとんどスピン量には影響しない」
ことになる!
 https://kawazoe-lab.com/ten…/science-of-tennis-racket-777/
 
・テニスラケットの科学(309)
:プロのストリンガーも知らないストリング:「スナップバック」の源流と用語の起源(14)
:New String Theory(新しいストリング理論)12
 https://kawazoe-lab.com/ten…/science-of-tennis-racket-309/