テニスラケットの科学(794)
:プロのストリンガーも誤解している「張り上げテンション」と「インパクトにおけるテンション」
:ストリングの張り上げテンションが打球速度に影響しない物理的メカニズム
:インパクトにおけるスリング面の復原力とボールの反発速度の運動方程式

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:プロのストリンガーも誤解している「張り上げテンション」と「インパクトにおけるテンション」
:ストリングの張り上げテンションが打球速度に影響しない物理的メカニズム(背景)
・ 具体的には、次の画像へ

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画像2:
 インパクトにおけるスリング面の復原力とボールの反発速度の運動方程式
・たわみ量Xが非常に小さいとき(ドロップショット)は
張り上がりテンションが影響します.
 ただし、数ポンドの違いでは無視できる程度でしょう!
 張り上がりテンションというのは張っただけの(打球しない)状態ですから、たわみゼロの時のテンションです.
・ インパクトにおけるテンションは、ボールとラケットが激しく衝突して,ストリング・テンションが急激に増大し、大きくたわんだストリングのテンションが復原力としてボールを弾き返します.
 インパクトにおける復原力は、ストリング面のたわみ量の影響が大きいので、張り上がりテンション(たわんでいないときのテンション)による復原力は無視できる程度ということになります.
・これらのことは、定量的(数値)にはシミュレーションや実験をしてみないとわかりませんが、別稿でしばしば紹介ずみです.

画像ー2

画像3:ストリング面の断面図で「張り上がりテンション」と「インパクトでのテンション」を模式的に示し,インパクトにおけるテンションと非線形・復原力を導出しています.
 インパクトでは、ストリング面バネ剛性(いわゆる面圧)も衝突速度、あるいはたわみ量の増大に伴って急激に増大することになります.

画像ー3

(参考記事)
テニスラケットの科学(17)
:なぜプロは試合中にラケットを替えるのか
-ストリングの武器としての性能と弦楽器としての性能のメカニズム(実験と理論に基づく考察)-
(まとめ)
https://kawazoe-lab.com/tenn…/science-of-tennis-racket-17/

・テニスラケットの科学(208)
:スピンとストリング(6)
: プロのストリンガーも誤解しているストリング・テンション
:ストリンガーはラケットという「弦楽器」の性能を熟知している「調律師」(名張人)
https://kawazoe-lab.com/ten…/science-of-tennis-racket-208/

・テニスラケットの科学(537)
:テニス書・テニス雑誌の解説に異見あり(47)
:ストリングの太さ(ゲージ)とラケット性能➃
:誤解されやすいインパクトにおけるストリング面の硬さ(面圧、復原バネの強さ)
:インパクトにおけるストリング面は、幾何学的な構造上、たわむほど硬くなる(たわみにくくなる、面圧が高くなる)!
https://kawazoe-lab.com/ten…/science-of-tennis-racket-537/

・テニスラケットの科学(4)
ストリング:取り付け時のテンションとインパクトにおけるテンション
https://kawazoe-lab.com/tenni…/science-of-tennis-racket-4/

・テニスラケットの科学(322)
:スピンとストリング(66)
: プロのストリンガーも誤解しているストリング・テンション
:再度テンションの大誤解を解く(その1)(ストリングの反発力は、張り上がりテンションによるのではなく、インパクトでのテンションによる)
https://kawazoe-lab.com/ten…/science-of-tennis-racket-322/
 
・テニスラケットの科学(323)
:スピンとストリング(67)
: プロのストリンガーも誤解しているストリング・テンション
:再度テンションの大誤解を解く(その2)
https://kawazoe-lab.com/ten…/science-of-tennis-racket-323/
 
・テニスラケットの科学(324)
:スピンとストリング(68)
: プロのストリンガーも誤解しているストリング
:ストリングは(ナチュラル・ガットもナイロンも)、古くなっても(使用しても)反発性能は低減しない。
https://kawazoe-lab.com/ten…/science-of-tennis-racket-324/
 
・テニスラケットの科学(325)
:スピンとストリング(69)
: プロのストリンガーも誤解しているストリング・テンション
:再度テンションの大誤解を解く(その3)
https://kawazoe-lab.com/ten…/science-of-tennis-racket-325/

・テニスラケットの科学(212)
:スピンとストリング(10)
: プロのストリンガーも誤解しているストリング・テンション
:ボールとストリング面の荷重と変形量(たわみ量)の測定例
https://kawazoe-lab.com/ten…/science-of-tennis-racket-212/

・テニスラケットの科学(214)
:スピンとストリング(12)
: プロのストリンガーも誤解しているストリング・テンション
:(張り上がり)テンションと接触時間の実測例とシミュレーション結果の比較
https://kawazoe-lab.com/ten…/science-of-tennis-racket-214/

・テニスラケットの科学(215)
:スピンとストリング(13)
: プロのストリンガーも誤解しているストリング・テンション :(張り上がり)テンションはラケットの反発性能にほとんど影響しない (反発性能のメカニズム、55ポンドと67ポンドの比較例)
https://kawazoe-lab.com/ten…/science-of-tennis-racket-215/

・テニスラケットの科学(541)
:テニス書・テニス雑誌の解説に異見あり(51)
:ストリング・テンションとラケット性能➃
:ボールとラケットの接触時間
https://kawazoe-lab.com/ten…/science-of-tennis-racket-541/

・テニスラケットの科学(661)
: フェデラー選手の弦楽器としてのテニスラケット
: 横糸ポリエステル上の縦糸ナチュラルを滑らせて弾く
:  スピン量を抑えて音色を楽しむ?
https://kawazoe-lab.com/ten…/science-of-tennis-racket-661/

・テニスラケットの科学(584)
:備忘録(2019年8月21日初投稿)
:テニスマガジン誌2019年10月号特集『スピンとストリングの密な関係』
「PART① ラケットとボールがぶつかるとき、ストリングに何が起きているのか?」
https://kawazoe-lab.com/ten…/science-of-tennis-racket-584/