テニスラケットの科学(831)
:テニスラケット性能論
:なぜ、テニス雑誌のラケット性能についての解説記事は、自分勝手な妄想の世界なのか?
:東京大学史料編纂所教授・本郷和人氏のインタビューでの意見*に関連して
“ 本郷: 基本的には参考文献が載っていない本はダメです。参考文献や歴史資料がない本は自分勝手な妄想の世界ですから。
“* *BLOGOS 「歴史を語るには大人の分別が必要」日本史学者・本郷和人氏に聞く 歴史の読み解き方 村上隆則 2019年03月05日·

 テニス雑誌のラケットやストリングの性能についての解説記事にも、自分勝手な妄想の世界が多いようです!
たとえば、
「薄厚なのにパワーがある」
「ラケットのしなりでボールを飛ばす」
などというラケット性能に関する物理的に間違った表現も、昔から(今でも)、よく見られます。
反発性能(ボールを跳ね返す性能:ボールの入射速度に対する跳ね返り速度の比)に関しては、ラケットが木製(動的な硬さを表す固有振動数:100 Hz程度)から複合材料製(130Hz以上)に変わってからは、薄厚ラケットでも、オフセンター打撃でもフレーム剛性(硬さ)は十分です。**
 ラケット・フレームの曲げ剛性(曲がりにくさ)やねじり剛性(ねじれにくさ)が高いほどラケットの反発係数は高くなりますが、ボールを跳ね返す反発力係数(反発性能)は反発係数で決まるものではなく、ラケットの反発力(面中心で0.4程度)に影響するのは反発係数(面中心で約0.8程度)と重量配分(仕様で言うと、重量、バランス、スイングウェイト)です。重量配分の方が影響が大きいのです。
 初期の厚ラケは反発力が注目されましたが、実は、厚ラケのフレーム剛性が増した影響よりも、トップヘビーでフレーム厚増大による重量増大の影響の方が大きかったのです。
現在、フレームが厚くて剛性の高い厚ラケのメリットは、フレーム・ショットの場合ぐらいです。
 ボールとラケットの反発係数が高くても、ラケットが軽くてラケット面上の打点位置に換算したラケット重量(仕様で言うと、重量、バランス、スイングウェイトから算出できる)が小さい場合(軽量でトップライト)は、ラケットが弾かれやすく、反発力は低くなります。
 したがって、最近のラケットの場合、フレームの薄い・厚いではなく、フレームの重量配分(仕様で言うと、重量、バランス、スイングウェイトを総合したラケット面上の打点位置に換算した重量)が反発性能や打球速度に最も影響します。
 ラケット・ヘッド速度(スイングウェイトに反比例)とストリング面中心に換算した重量(重量、バランス、スイングウェイトを統合したもの、スイングウェイトに比例)が大きいほど、パワー(打球速度)は大きくなります!
 ストリング面中心に換算した重量とラケット・ヘッド速度のバランスでパワー(打球速度)が決まるということになります!
 これが、カタログに、ストリング面中心に換算した重量を表示してほしいと長年要望している理由です!
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テニスラケット性能論
:東京大学史料編纂所教授・本郷和人氏の
インタビューでの意見*に関連して
Q(質問):
なぜ、テニス雑誌のストリングやラケットの性能についての解説は、自分勝手な妄想の世界が多いのか?
A(回答):
“本郷: 参考文献や歴史資料がない本は自分勝手な妄想の世界ですから。“*

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画像2:
*BLOGOS 「歴史を語るには大人の分別が必要」日本史学者・本郷和人氏に聞く 歴史の読み解き方 村上隆則 2019年3月5日

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画像3:
たとえば、
ラケットのしなりでボールを飛ばすという記事は間違い!
(実際は)インパクトでラケットは(少し傾くけど)しならない!
 ラケットはインパクト後に振動する!
フレームの振動が大きいほど、反発係数は低い

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画像4:
なぜ、テニス雑誌のストリングやラケットの性能についての解説記事は、自分勝手な妄想の世界が多いのか?例えば
ラケットのしなりでボールを飛ばすという記事は間違い!
(実際は)インパクトでラケットは(少し傾くけど)しならない!
 ラケットはインパクト後に振動する!
フレームの振動が大きいほど、反発係数は低い

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(引用記事)
・*BLOGOS 「歴史を語るには大人の分別が必要」日本史学者・本郷和人氏に聞く 歴史の読み解き方 村上隆則 2019年3月5日·
以下は抜粋・引用です。
“ 本郷:
 私はここ(東京大学史料編纂所)で長く研究している身ということもあり、まぁ信用してもらえるだろう、と参考文献を挙げない派です。
 なので、自分の首を絞めるのを承知で言いますが、基本的には参考文献が載っていない本はダメです。
 参考文献や歴史資料がない本は自分勝手な妄想の世界ですから。
 「歴史観」というものがどうやってできるかについて話しましょう。
 歴史を研究するとき、我々研究者はまず、「史実」を復元することから始めます。これはいろんな歴史資料を読んで、どの資料が信頼に足るものかを比較検討しながらおこないます。
 たとえば、本能寺の変なら、「100年後に書かれたものと事件がおこった2週間後に書かれたもの、どちらが信頼できる?」「信長の側近で命からがら逃げ出した人が書いたものと、九州の端にいた人が書いたものとどちらが信頼できる?」というようなことです。
 もちろんリアルタイム性が高ければ何でも信頼できるというわけではなく、少し離れていたほうが真実をつかんでいるという場合もある。そういうことも含めて、「歴史のソース」を一生懸命読み込んでいかないといけない。
 これは歴史研究を志す大学院生がまずやるトレーニングです。
 こうやって、新聞記者が事件のウラを取るのと同じように、歴史のウラを取る。そうすると歴史のひとつの事件の真相が見えてきます。
 こうしたトレーニングをしないと、古文書や当時の貴族が書いた日記だとかを読み込むのは難しいんです。”
(参考文献、たとえば)
・テニスのインパクトにおけるラケットのスイートエリアの予測(反発係数, 反発力, ボールの飛び)
川副 嘉彦、友末 亮三、
日本機械学会論文集. C編 64(623) 1998-07 pp.2382-2388.
・Analysis of Impact Phenomena in a Tennis Ball-Racket System
: Effects of Frame Vibrations and Optimum Racket Design、
Kawazoe Yoshihiko, Kanda Yoshifumi、
JSME international journal. Ser. C, Dynamics, control, robotics, design and manufacturing 40(1) 1997-03-15 p.9-16
・テニスのストロークとボレーにおけるラケットの最適性能設計- 反発性とスイングウェイトのバランス- 、
川副嘉彦、
テニスの科学(日本テニス学会機関誌)、第23巻、2015, pp.54-55.
・テニスラケットの反発特性に及ぼすフレームの局所的剛性変更の効果、
神田 芳文、
ミズノ財団助成報告書