テニスラケットの科学(86) テニス・スイングにおけるパラメトリック加速(1):フェデラーのサーブ (Parametric Acceleration in Tennis Swing: Federer’s Service)

インパクトに向かうスイングを見ると(図添付)、
グリップ(手首)先導で下から上へ腕を振り上げながら、
インパクト直前からインパクトの瞬間に向かって、グリップ(手首)の位置が少し下がっています。

すなわち、インパクトの瞬間のグリップ位置は、インパクト直前のグリップ位置より下がっています。

したがって、インパクトの直前でグリップ(手首)を、上から下へ振り下ろしているように、あるいは身体側に引き付けているように見えます!

一方、ラケットヘッドは、時間的に遅れて、インパクト直前からインパクトの瞬間に向かって、下から上に跳ね上がっています!

これは、力学的には、スイング回転の旋回半径が、インパクト直前で変化して短くなり、ラケット・ヘッドが走る(加速する)ことになり、インパクトでヘッド速度が最大になることを意味しています。

「インパクトの直前、グリップ(手首)部分を身体側に、一瞬、引き付けることにより、ラケット・ヘッドの速度を加速する。」これが「テニス・スイングにおけるパラメトリック加速」の現象ではないでしょうか?

物理学を知らなくても、プロは経験的に、「テニス・スイングにおけるパラメトリック加速」を実践していることになります!

(ご参考までに)
ゴルフやテニスにおける「パラメトリック加速」は、ブランコ乗りで、身体の重心位置を変化させることにより、ブランコを加速して、振幅を増大させる原理と同じです!
身体の重心位置を変化させることは、ブランコ振り子の長さ(半径)を変化させることに相当します。(運動方程式が同じになります。)

画像:20190317-フェデラーのサーブ-2019-03スマッシュ-trim-kawazoe From テニス雑誌:スマッシュ 2019年3月号

テニスラケットの科学(86)の補足(2020/3/27)➡