テニスラケットの科学(890):
(備忘録:解説記事 2003年) 
テニスラケットの素材・構造と性能*(その12)
6.長ラケの性能と理想の長ラケ
*川副嘉彦,テニスラケットの素材・構造と性能,バイオメカニクス研究(日本バイオメカニクス学会誌),(特集:素材とスポーツ)、第7巻2号,(2003), pp. 136-151.

(続き)
6.長ラケの性能と理想の長ラケ
 木製ラケットの時代から,ラケット(の全長)はすべて27 in(インチ)であった.
 そういう意味で長尺ラケット(長ラケ)の登場は画期的であった.
 一時は 29 in(インチ)のラケットがテニスショップでは主流であったが,最近では 27 in(インチ)に近い長ラケがよく使われている.
しかし,これでは長ラケと言い難い.
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 図37は,有限要素法・衝突シミュレーション計算(川副ら,2000d)による従来型の 29 in(インチ) 長ラケ・モデル EOS100-L50 (290g) と 27 in(インチ)ノーマル・モデル EOS100 NORMAL (290g)の打球速度・予測値の比較である.
 横軸はラケット面中心から打点までの距離(先端側マイナス,根元側プラス)である.
27 in(インチ)ラケットをそのまま長ラケ化しても,
(1)反発係数および反発性が低下し,
(2)ラケット面の中心および先端側寄りの打点では,ボールの飛びはほとんど向上しないから長ラケの意味がない.

画像ー1


図37 従来型の 29 in(インチ) 長ラケ・モデル EOS100-L50)と 27 in(インチ)ノーマル・モデル ( EOS100 NORMAL)のフォアハンド・ストロークにおける打球速度 VBの予測.
 横軸はラケット面中心からの衝突位置(先端側マイナス,根元側プラス).
 図38は,シミュレーション結果に基づいて提案する理想の長ラケ EOS100-L50#0.9L (重量 311g, バランス 391 mm,重心まわり慣性モーメント 13.7 g・m2 )の性能予測例である.
 フレームの重量と重量配分を考慮した長ラケ化により,反発性とボールの飛び(打球速度)を同時に向上させる.
 また,手首の衝撃力も低減される.

画像ー2


図38 シミュレーション結果に基づいて提案する理想の長ラケ EOS100-L50#0.9L (重量 311 g, バランス 391 mm,重心まわり慣性モーメント 13.7 g・m2 )の性能予測.
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(引用文献)
・川副嘉彦,テニスラケットの素材・構造と性能,バイオメカニクス研究(日本バイオメカニクス学会誌),(特集:素材とスポーツ)、第7巻2号,(2003), pp.136-151.
https://kawazoe-lab.com/research/tenisutakettonosozai/

(続く)