研究発表のお知らせ

2017年12月9日,10日に慶應大学にて開催される第29回テニス学会において研究発表を行います。
20年?ぶりにテニス大会にも参加したいと思います。

期日:平成29年(2017年)12月9日(土)
会場:慶應義塾大学日吉キャンパス
講演者:川副嘉彦(川副研究室)
学会詳細と参加申し込みはテニス学会ウェブサイトをご覧ください

http://jsts.cc/wordpress/

講演題目:なぜプロは試合中にラケットを替えるのか
-ストリングの武器としての性能と弦楽器としての性能のメカニズム(実験と理論に基づく考察)-

(講演要旨)

なぜプロは試合中にラケットを替えるのか

-ストリングの武器としての性能と弦楽器としての性能のメカニズム(実験と理論に基づく考察)-

川副 嘉彦(川副研究室)

福井烈さんの訳本「テニスの急所191(ドン・レアリー著),1980年)」に次のような記述がある。「ガットが堅く張ってあればあるほど,パワーボールを打てますが,そのかわりコントロールは悪くなります(ボールがガットからより早く離れるから).ガットがゆるければゆるいほど,打球のコントロールはよくなりますが,パワーは落ちます.(ボールがガットに接触する時間が長くなるから)」.この本のもとになったレアリーの新聞コラムの読者は世界で3000万人以上と言われ,当時は,現在と反対のことが世間の常識だったわけである.

一方,ラケットに振動止めを取り付けて上級プレーヤー 41 名を対象にして実験したところ、11ポンド以下のテンションの違いを識別できたのは27 % にすぎず,22ポンドの違いでさえ,正しく認識できたのは63%だったという論文もある。

錦織選手の活躍により,テニスがテレビや新聞雑誌で多く取り上げられ,ラケットやストリングについての解説がネットでも多く見られるようになったが,学術論文での実験や理論と矛盾する解説が多い。

本研究では,最新の学術論文に基づいて,テニスラケットの新常識について吟味する。