テニスラケットの科学(193) フォアハンド・ストロークにおける身体とラケットの操縦法を見る (45):誰もが憧れるフェデラーのフォアハンドの特長(まとめ)(*)
“ 誰もが憧れるフェデラーのフォアハンドの特長(*)
①インパクト直前の 1000分の2秒前のボールとラケットヘッドとの(高低差)がトップスピンを生む!
インパクトの1000分の2秒前(frame 17)でも、ボールとラケットヘッドとの(高低差)があり、インパクトの時点(frame18)でボールとストリング面が同じ高さになっているのがわかります。
この非常に短い時間の間の(高低差)が、ボールに強い縦回転(トップスピン)をもたらすことが予測されます。これがフェデラーの省エネ・超トップスピンの原理のひとつと推測されます。
②フェデラーの打法は省エネ・超効率的テークバックである
これまで見てきたように、フェデラーはラケット面をかぶせながら腕とラケットを落としたあとで、肩・上腕を外旋しながらフォワードスイングへ移行すると、肩・上腕の回転やスイングがしやすく、可動域も大きくなり、ラケットを二度引きしないでもラケットヘッドが自然に後ろに深くなります。
その深くて低い位置から肩を支点にフォワードスイングされるのですから、フォアの構え(テークバック)がコンパクトであるにもかかわらず、ヘッドがインパクト位置まで加速するには十分な距離があるため、打球速度が大きくなるだけではなく、インパクト直前のボールとの高低差と相まってスピンの回転角速度も大きくなるはずです。
これがフェデラーの省エネ・超トップスピン原理の2つ目と推測されます。
そうするとこのフェデラーの効率的テークバックからのフォアハンド打法は、高齢者や小学生以下の子供たちにこそ適している省エネ・高効率の打法ではないかと考えます。特に障害予防の観点からも理想の打法のはずです。”
*参考資料
特集『スピン大研究』「PART① スピンの実際」、テニスマガジン2019年9月号、pp.14-18.