テニスラケットの科学(614)
:打球感のメカニズム
:インパクトの衝撃はどのように手に伝わるか⑦
:発生する衝撃力と、手に作用する衝撃反力は別のもの
:インパクトの瞬間に発生する衝撃力が大きいほどボールは良く飛ぶ
・ストリング面の打球位置とグリップを持つ位置と衝撃反力の関係(まとめ)
● ストリング面の打球位置とグリップを持つ位置と衝撃反力の関係をまとめると、以下のようになります。
・ 従来型重量バランスのミッド・サイズであるEX-Ⅱ(100平方インチ、張り上げ360g)やPROTO-02(100平方インチ、張り上げ370g) は、 ラケットを短めに持って ストリング面中心からやや根元側で打撃すると、 手に伝わる衝撃反力を小さくできる。
・ 軽量トップヘビーのEOS100(張り上げ290g)のタイプは、 わずかに短めにラケットを持ち、 ストリング面中心で打撃するとき 衝撃反力は小さい。
・ 超デカラケのEOSゴールド(従来型重量バランス、120平方インチ、張り上げ349g)やデカラケのPROT-EX110(110平方インチ、366g)のタイプのラケットは、 手の中心がグリップ・エンドから約70mmの位置になるように握り、 ストリング面の中心で打撃するときに 衝撃反力がもっとも小さくなる。
・ 超デカラケ(超軽量トップヘビー、120平方インチ、張り上げ292g)は、 できるだけ長めに持ってセンターで打つと、手の衝撃が小さくなる。
●(補足)ストロークの種類によっても、手への衝撃が小さいラケットは変わる!
ストローク別に考えると、
・ フォアハンドの標準的な握りの位置(手の中心がグリップ・エンドから約70mm)では、 ストリング面の中心で打撃する場合は、 超デカラケ(従来型重量バランス、120平方インチ)やデカラケのタイプ(110平方センチ)が 衝撃反力はもっとも小さくなっています。
・ サムアップ(親指を立てて後ろからグリップを支える)したバックハンドの親指の位置はグリップ・エンドから110mmの付近であり、 ストリング面中心で打撃する場合は、 厚ラケのタイプ(従来型重量バランス)のラケットの衝撃がもっとも小さく、 やや先端側で打撃する場合は 超デカラケ(120平方インチ、超軽量トップヘビー、張り上がり292g)やデカラケのタイプのラケットの 衝撃反力が小さくなっています。
・ 長めにラケットを持つ傾向のあるサービスでの支えの位置をグリップ・エンドから約30mmと仮定すると、 ストリング面の中心で打撃する場合は、 超デカラケ(120平方インチ、超軽量トップヘビー、張り上がり292g)タイプの衝撃反力は非常に小さくなっています。 やや先端側で打撃する場合も 超デカラケ(120平方インチ、超軽量トップヘビー、張り上がり292g)タイプの衝撃反力はもっとも小さく、 デカラケや超軽量トップヘビーのタイプも、 従来型重量バランスのミッド・サイズに較べると 衝撃反力は比較的小さくなっています。
(続く)