テニスラケットの科学(151)  テニス書・テニス雑誌の解説に異見あり(29):ジョコビッチ選手は「上腕の内旋」+「前腕の回内」でスイングを行うタイプ

テニス雑誌・最近号(*)『タイプ別スイング分類学②』「フオァハンド②ダブルベンド型:代表的な選手はジョコビッチ」というタイトルで、“主に「上腕の内旋」+「前腕の回内」でスイングを行うのが特徴で、スイングの過程で、インパクト前後で肘を曲げて「上腕の内旋と前腕の回内」を行うことで、スイングの回転半径は小さくなります。そうして半径を小さくすることで回転=スイングスピードが速くなるのです。”と、ジョコビッチ選手のコマ写真(*)に基づいて解説されていますが、(異見あり!)です。

添付のコマ写真(*)は、フォアハンドの構えの状態(コマ写真1、2,3)から、立てたラケットを下に落としながら(コマ写真4→ 6)、「上腕(肩)を外旋(外側に回転)しながら肩を支点にしてスイングし(コマ写真7→)インパクト(コマ写真8)まで一気に移行しています。

すなわち、インパクトまでは、テニス誌の主張する「上腕の内旋と前腕の回内」ではなく、実際は「上腕を外旋しながらのスイング」になっています。
このとき(3次元の動きなのでわかりにくいですが)、肘や手首の角度も一定に保たれているように見えます。

一方、インパクト後のコマ写真9、10は、テニス誌も指摘しているように「上腕の内旋と前腕の回内」が見られます。
すなわち、たしかに、フォロースルーには「上腕の内旋と前腕の回内」が見られますが、打球には影響がありません!

また、コマ写真に見られるように、上腕を外旋しながら肩を支点にしてスイングすると、身体の幾何学的構造上から、グリップが引き付けられることになり、遠心力に逆らう仕事によりエネルギが供給され、ラケット・ヘッドが走る(加速する)ことになります。

また、 “「上腕の内旋と前腕の回内」はハンドルを片手で回すイメージ”とテニス誌では解説されていますが、これは、インパクト後にラケットの動きを速やかに収めるためのフォロースルーですから、読者に誤解を与えないように、インパクトとは区別して解説されるべきですね!


・文献:『タイプ別スイング分類学②』「フオァハンド②ダブルベンド型:代表的な選手はジョコビッチ」、テニス雑誌・テニスクラシック・ブレーク、2019年5月号、p.99-103.
・コマ写真:ジョコビッチ選手のフォアハンド(テニスクラシック・ブレーク、2019年5月号、p.102-103の図を編集-kawazoe)
(2019-0609-ジョコビッチ選手のフォアハンド-TC2019年5月号p103-104,Fb-Ss-edited by Kawazoe)