テニスラケットの科学(202) :打球速度とスピン量(回転角速度)の生成のメカニズム
● 現代テニスの特長は、ラケット自体のパワーが向上して高速化したというよりも、ラケットの軽量化によりプレーヤーは速くラケットをスイングして、より強いトップスピンをかけることが可能になったということでしょう!
ラケットを速く振るほどスピンもかかるので、速くスイングしてもボール・コントロールがしやすくなり、ボールが相手コートに入るようになるからです。
● インパクト後の打球速度は、ストリング面に垂直な方向の力、あるいは垂直な方向のラケットヘッド速度成分に依存します。
また、(誤解されやすいのですが)、ボールのつぶれ量や接触時間もストリング面に垂直な方向の力、あるいは垂直な方向のラケットヘッド速度に依存します。
● インパクト後のスピンの強さ(回転速度)は、ストリング面と平行な力、あるいはストリング面と平行なラケットヘッド速度成分に依存します。
(*添付図の式中のRBはボールの半径です。スペースの関係で途中の式は省略しています。)
(参考文献)
川副嘉彦・沖本賢次・沖本啓子、テニスラケットのスピン性能のメカニズム(ストリング交差点潤滑によるスピン性能向上の超高速ビデオ画像解析)、日本機械学会論文集(C編)、72巻718号、pp.1900-1907,(2006)