テニスラケットの科学(221):スピンとストリング(19) : プロのストリンガーも誤解しているストリング・テンション :ボールとストリング面の反発係数(テンションの影響)の実測値例(3)

・ボールとストリング面の反発係数(COR)
=(ボールの跳ね返り速度)/(ボールの入射速度)
 ボールとストリング面の反発係数におよぼすストリング・テンションの影響を調べたものです.
 横軸は衝突速度、縦軸はボールとストリングの反発係数です。
 ボールとストリング面の反発係数は、ボールとストリング面の衝突速度が大きいいほど、わずかですが、低下します。
 衝突速度は、通常ストロークでは 20~30m/s程度です.
 衝突速度20 m/s では,テンションの高い方が反発係数の平均値はやや低くなっていますが,30m/sではテンションの違いによる反発係数の平均値の差はほとんどありません.
 ボールとストリング面の反発係数(COR)は0.8 ~ 0.9 程度で,0.83 に近い値を示しています.
 この実験は,共同研究者であるミラノ工科大学のCasolo, F.教授のもとで,超高速度のインパクトまで測定できる当時では貴重な本格的な実験装置を用いて実施されました.
(参考文献)
 Kawazoe, Y., Tanahashi, R. and Casolo, F.,
Experimental and theoretical criticism of the effectiveness of looser strings for the reduction of tennis elbow,
 Tennis Science & Technology 2, pp.61-69. (2003). International Tennis Federation(ITF).
 この論文は、ストリングを緩く張ることはテニス・エルボー(肘)対策に効果がないことを、実験と理論によって吟味したものです。